TOB(不成立TOB・ディスカウントTOB)の事例10選を紹介

TOB(不成立TOB・ディスカウントTOB)の事例10選を紹介

上場企業の経営方針に大きく関わる内容であることから、近年TOBに関するニュースがよく取り上げられるようになりました。この記事では、TOBの意味や目的、不成立TOBとディスカウントTOBの事例を紹介します。

TOBとは

TOBとは

TOBは、主に対象企業の経営権を取得するため、子会社化するために、不特定多数の株主から株を買い集める際に用いられます。TOBは大きく分けて、買収先の経営陣の賛同を得て行う「友好的TOB」と、経営陣から賛同が得られないままTOBを強行する「敵対的TOB」の2種類があります。

TOBの意味

TOB(Take-Over-Bid)とは、株式公開買付けと呼ばれるM&Aの手法のひとつです。証券市場を通さずに、あらかじめ買取株数や価格、期間を広告して、特定企業の株式を大量に株主から直接買い付ける方法のことを指します。通常の株取引では大量の株式を短期間で買い集めると、市場の混乱を招いてしまうことから、公平性・透明性を確保するために考案された制度です。

不成立TOBとは

不成立TOBとは、TOBの成立条件に満たなかったため、買い手がTOB自体をキャンセルすることを指します。募集した株式数に満たなかった場合は、応募があった株式を買い取る必要はなく、不要なリスクを背負うことはありません。友好的TOBではTOBの成功率は高くなりますが、米国に比べて日本では、敵対的TOBの成功率低いといった現状があります。ただ近年、さまざまな業界で再編が起きていることもあり、敵対的TOBの件数が増え始めています。

ディスカウントTOBとは

ディスカウントTOBとは、株式市場価格を下回る価格でTOBを実施することをいいます。株式を売ってもらうために、株式市場価格より高く買うTOBが一般的ですが、ディスカウントTOBでは、あえて買取価格を安く提示し、応募する株式保有者を減らして、必要最低量の株式数を確保したい場合に使われます。ディスカウントTOBは、事前合意が成立した特定の大株主から株式を取得します。

不成立TOBの事例5選

不成立TOBの事例5選

不成立TOBの事例を5つ紹介します。

夢真ホールディングスの不成立TOB事例

夢真ホールディングスは、2005年7月に、親和性の高さから事業のシナジー効果を期待して、建設コンサルティングを行う日本技術開発に対して敵対的TOBを実施することを発表しました。これに対して日本技術開発は株式分割による買収防衛策を講じますが、夢真ホールディングスは裁判所へ買収防衛策の差し止め請求を敢行。しかしその後、訴訟は却下され、エイトコンサルタント(現エイト日本技術開発)がホワイトナイトとして対抗TOBを行い、エイトコンサルタントのTOBが成立したため、夢真ホールディングスは日本技術開発の買収から撤退を余儀なくされました。

ベインキャピタルの不成立TOB事例

ベインキャピタルは、2019年1月に廣済堂の完全子会社化を目的として、TOBの実行を発表しました。社長を含む廣済堂の経営陣の要請を受けてのMBOの一環で行われましたが、買取価格が安すぎると、創業者の妻・櫻井氏やほかの大株主らによる対抗TOBが開始します。結果的にベインキャピタルが提示した買付価格より高い金額を提示したことで、廣済堂のTOBは不成立となりました。廣済堂の子会社である東京博善の企業価値が、提示されたTOB価格の2倍以上はあると見られていたため、TOBが不成立に終わったと考えられています。

王子製紙の不成立TOB事例

製紙業界第1位であった王子製紙は、2006年7月に業界シェアを広げる目的で、業界6位の北越製紙に敵対的TOBを仕掛けます。しかし、北越製紙は防衛策として取引先の三菱商事に対して第三者割当増資を行い、さらに当時業界2位であった日本製紙グループが北越製紙株を取得するなどのTOB阻止を実施します。結果的に王子製紙は目標株式数の50%超はおろか、10分の1の5%程度しか取得できないことが判明し、敵対的TOBは不成立に終わります。王子製紙のTOB失敗の要因は、北越製紙と話し合いをしながらも、敵対的ともとれる戦略をとったためとしています。

富士通の不成立TOB事例

富士通は、2017年2月に電子部品商社のソレキアへTOBを開始します。これは個人投資家の佐々木ベジ氏によるソレキアへの敵対的TOBに対抗するために、ホワイトナイトとして参戦した形になります。佐々木ベジ氏は大株主になることで、経営体質を改善して、企業価値を向上させる目的でTBOの提案を行いましたが、ソレキア側は富士通による友好的TOBで対抗します。両者のTOB競争は互いに買取価格を吊り上げていくこととなり、期間も延長されて泥沼化していきます。最終的に買取価格の高騰を受けて、富士通側は経営的合理性を欠くことから、TOBを途中で断念することになります。

ドン・キホーテの不成立TOB事例

ドン・キホーテは、2005年にオリジン東秀を傘下に収めて、業務提携により次世代型コンビニエンスストアの事業化を計画していました。しかし、オリジン東秀がドン・キホーテのTOB提案に反対の意を表明したことで、2006年1月には敵対的TOBに発展。その後ホワイトナイトとしてイオングループが名乗りを上げ、友好的TOBを実施します。結果的にドン・キホーテのTOBは成立せず、オリジン東秀はイオングループの傘下に入ります。オリジン東秀はイオングループ入りした後、利益を大きく拡大させています。

ディスカウントTOBの事例5選

ディスカウントTOBの事例5選

代表的なディスカウントTOBの事例を5つ紹介します。

コカ・コーラのディスカウントTOB事例

コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスは、2018年2月に自己株式のディスカウントTOBを実施し、4月には大株主であるリコーからすべての自社株を約560億円で買い戻しました。コカ・コーラはディスカウントTOBによる自社株買いを行ったことで、株価は値上がりしたため、株主への利益の供給とともに、株主価値や経営効率の向上を実現しています。株式市場価格より13%安の提示価格でしたが、リコーはコカ・コーラ株を売却して得た資金をコア事業に集中投資できるようになり、株式の持ち合い解消も可能になります。

三井化学のディスカウントTOB事例

三井化学は、2018年1月に自動車開発支援企業であるアークへのディスカウントTOBを成立させました。既存の大株主のオリックス子会社やみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行と買取価格を事前交渉し、市場価格より10%安い、約301億円で必要最小限の株式の買い取りを実施。新車の初期開発に携わるアークのグループ企業化に成功したことで、経営再建中のアークの会社立て直しとともに、新製品開発や樹脂材料の売り込みといった自動車業界での営業力の強化につながっています。

三菱商事のディスカウントTOB事例

三菱商事は、2018年3月にディスカウントTOBで大株主の三菱重工業から三菱自動車株を購入。買い付け価格は1株749円と市場価格より10%安で、三菱自動車は三菱商事の持分法適用会社となっています。2016年に三菱自動車が燃費不正の発覚による大打撃を受け、日産自動車が筆頭株主となったことで、三菱系列の関係強化を図る目的もあり、三菱重工業と三菱東京UFJ銀行から三菱自動車株式の取得を実施します。三菱自動車を子会社にするといった狙いはなく、グループ内の出資関係の整理と自動車事業の拡大が主な狙いでした。

TBIホールディングスのディスカウントTOB事例

全国に飲食店を展開するTBIホールディングスは、2017年6月に 東北・関東に居酒屋を展開するホリイフードサービスの株式をディスカウントTOBにより取得しました。ホリイフードサービスの会長と事前に交渉を進め、基準となる市場価格の22%安い価格で買い取りを行っています。TBIホールディングスは経営改善を進めれば、業績アップが可能と判断したため子会社化を進め、業績悪化が続くホリイフードサービスにとっては、会社立て直しにはTBIホールディングスの力が必要であったため、あえて割安で過半数超の株式を売却しています。

RIZAPグループのディスカウントTOB事例

RIZAPグループは、2017年2月に株式公開買い付けを行い、ジーンズメイトの子会社化に成功しました。ジーンズメイト創業家らが事前に株式売却に応じていたため、買付価格は株式市場価格の23%安となり、発行済み株式の52.62%を取得し、さらに第三者割当増資も引き受けたことで、64%を保有する親会社になります。RIZAPグループの資金面でのバックアップもあり、株価は大幅に上昇しましたが、2019年にRIZAPグループの業績悪化が発覚し、親会社の影響から一時株価は急落したものの、経営改善を続けてきたジーンズメイトは業績アップを実現しています。

M&A相談ならウィルゲートM&A

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TOBの規制まとめ

TOBの規制まとめ

M&Aの手法のひとつであるTOBの意味や目的、不成立TOBとディスカウントTOBの事例を紹介しました。

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