M&Aにはさまざまなケースがありますが、廃業を決めた会社を買う場合もあります。
この記事では、廃業する会社を買う方法やメリット・デメリットについて詳しく解説します。また、廃業する会社を買うときの相場や案件の探し方も紹介します。
自分で会社を経営している、または会社を保有している人は、廃業は極力避けたいと思うはずです。廃業してしまうと営業活動ができなくなり、利益を得られなくなるだけでなく、煩雑な手続きや廃業のための費用もかかります。また取引先や従業員など多くの人への影響もあります。しかし会社を廃業にしなければいけない理由があり、廃業を選ぶ経営者も少なくありません。
2000年代に入ってからは、年間約1万~3万の企業が、廃業または休業しています。最近の傾向では、2014~2016年の非一次産業の廃業数が約814,000件あり、規模の小さい企業が廃業しています。
廃業とは、会社をたたむことをいいます。倒産や破産とは違い自主的に会社の営業活動を止め、借入金や買掛金などの債務をすべて清算し従業員も解雇します。廃業を決めたら、まず株主総会で解散の決議を取り、その後、登記や官報へ廃業の広告を掲載し債務を清算して。清算決算報告書を作成、承認後登記を行うといった流れで会社を消滅させます。
廃業と聞くと、事業活動がうまくいかず経営が悪化した末に廃業を決断したと見られる場合も多いですが、自主的に廃業を決められるため、黒字のまま廃業を選ぶケースも少なくありません。さまざまな理由で、事業活動を継続していくよりも廃業の方がメリットがあると経営者が判断した場合に、会社を消滅させるのです。
よくある廃業理由について説明します。廃業する理由はいろいろなケースがあり、決して業績悪化だけが原因ではないことがわかります。
会社を経営するトップが高齢化し、廃業を決めることがあります。会社を設立した当時は、若くエネルギッシュに事業活動を行えた経営者でも、高齢化してくると以前と同じような働き方はできなくなります。重大な経営の判断でためらいを感じたり、自分より若い従業員の感覚についていけないと思ったりすることも出てきます。
健康で冷静な判断ができるうちに廃業を決めようと思う経営者もいるでしょう。また、会社の成長のために時間と労力を尽くしてきて、少しゆとりのある生活をしたいと考える経営者もいます。黒字経営のまま廃業すれば、会社を清算したあとに自分の老後の資金に回せるお金を手にできるため、廃業を考えることもあります。
会社を継続したいけれど、後継者が見つからず廃業を選ぶ企業もあります。現在の経営者に子どもがいない、または子どもが跡を継ぐつもりがない場合、経営者が高齢になったとき会社を引き継いで舵取りしてくれる人がいません。役員の中に適任者がいれば、次期社長として任命できますが、適任者がいない場合は会社を廃業せざるを得なくなります。
今後、日本は少子化がますます進み、その影響はさまざまなところで出てきます。後継者不足は、企業の廃業を増やす大きな課題となるでしょう。
経営者が高齢になる前に、重大な病気にかかったり事故などで大怪我を負ったりして、今まで通りの経営ができなくなった場合も、廃業を選ぶことがあります。思わぬアクシデントのため、後継者を探したり育てたりする時間がなく、やむをえず会社を消滅させる手段を選ぶ場合があります。
自分の会社を廃業しようと考える経営者がいる一方で、廃業する会社を買い取りたいと考える経営者や企業もいます。うまくマッチングすれば、会社を消滅させずに、事業や技術、製品を継続できます。M&Aは企業買収を行うことですが、廃業する会社をM&Aで買い取るケースも少なくありません。
廃業を考えている経営者は、M&Aによる企業買取も検討してみるといいでしょう。売り手にとっても買い手にとってもwin-winのよい結果が得られる可能性があります。
廃業する企業を買う側にとってのメリットは、購入価格が安く抑えられる点です。廃業する会社は、経営者の高齢化や後継者問題などを抱えていることが多く、その分一般の企業を買収するよりも安く買えます。中小企業のM&Aの買取価格は、一般的に時価換算した純資産に営業利益数年分をプラスして算出します。経営者の高齢化などにより、営業利益が減少していれば購入価格も安くなります。
またM&Aの場合、その企業で働いている従業員もまとめて買い取ることになるため、新たに求人などを行ったり、社員教育をしたりする必要がありません。買い手が従業員不足に悩んでいる場合は、ベストなマッチングになります。さらに、経験や知識、技術などを持った従業員が即戦力となるため、買取後すぐに利益を生み出せます。
会社を立ち上げて顧客を獲得し、安定した利益を得るまでには何年もかかりますが、廃業する会社を買い取れば時間や労力をかけずに短い時間で利益をあげられます。また赤字経営をしている企業を買い取ることで、節税対策になる場合があります。
買い手のデメリットとしては、廃業する会社が負債を抱えていた場合、それらも引き継ぐことになるため、借入金や買掛金などの返済を肩代わりしなければいけません。
次に、売り手側のメリット、デメリットについて解説します。
会社を売りたい経営者にとって、M&Aで条件のいいところとマッチングし、M&Aが成立できれば、後継者問題を解決できます。買い手側の企業と一緒になるため、自分が引退したあとも会社を存続させられます。また、廃業を選ぶと従業員も解雇しなければいけませんが、会社を売れば従業員たちも仕事を失うことなく、そのまま事業活動を継続できるでしょう。
さらに、会社を創業し今まで培ってきた事業やサービス、技術などを自分の代で終わらせることなく継承できます。自社のみで業界で生き残っていくためにはさまざまな課題があったとしても、M&Aで同業他社に買取してもらうことで会社の体力を上げられ、業界シェアの上位に位置できるようになる場合もあります。
財務状況に多少問題があっても、将来性があり潜在的に価値があると判断されれば、思っている以上の価格で会社を売却できる可能性もあります。廃業するには費用がかかりますが、売却すればそれも必要ありません。
デメリットは、M&Aの条件によっては自社の名前やブランドなどをそのまま残すことが難しく、名前やロゴを変更したり、買収先の商品やサービスとして売り出されたりする場合があります。
廃業する会社や事業、サービスを買う方法は、株式の取得や事業譲渡、会社分割や合併などいくつかあります。それぞれやり方が違うので、どの方法が自社にあっているのかを検討するためにも内容を把握しておく必要があります。売り手にとっても、どんな方法で売却するかによってM&A成立後の会社の命運は変わってくるので、マッチングする前に売却方法をある程度決めておくのがおすすめです。一つずつ説明していきます。
株式の取得は、買い取る企業の株式を取得し、株主総会で議決権や株主権の行使を行って買い取った企業を傘下に収める方法をいいます。取得する株式がどのくらいかによって、支配権や決定権の強さが変わります。一般的には全株式の50%以上を取得することで、経営権を掌握できます。
中小企業は経営者とその家族や親族などがすべての株式を保有している場合が多く、株式取得でM&Aを行う場合、全株式を譲渡するやり方になることが多くあります。株式取得によるM&Aは、ほかの方法に比べて手続きがかんたんな点もメリットといえます。
事業譲渡は、売り手と買い手の間で事業譲渡を締結して、売り手が得意先や取引先、技術や営業のノウハウなどの情報を提供し、買い手が対価を支払ってそれらを買い取るやり方です。事業譲渡には、情報やノウハウだけでなく資産、負債などの権利・義務なども含まれます。
事業譲渡では、譲渡する資産や情報、契約内容、負債などを売り手と買い手の間で自由に選べます。このため、買い手は、売り手の偶発債務や帳簿外の債務などの債務譲渡を拒否できるメリットがあります。ただし事業譲渡する際に、個別の同意を得る必要があります。たとえば従業員の継承の場合は、ひとりひとりと転籍の手続きを行わなければならず、譲渡の内容が増えればそれだけ手続きも増えてしまいます。
また、事業譲渡に資産も含める場合、譲渡損益が発生します。
会社分割の場合は、新設分割と吸収分割の2つのやり方があります。新設分割の場合、1〜2つ以上の株式会社や合同会社が事業に関する権利や義務の一部またはすべてを分割して新しい会社を設立し継承させます。吸収分割は、株式会社または合同会社が事業に関する権利義務の一部またはすべてを分割したあとに、ほかの継承できる会社に引き継ぐ方法です。
合併の場合も、新設合併と吸収合併があります。新設合併は2社以上の会社が合併したあとにはどちらの会社も消滅し、会社の権利・義務のすべてを合併で設立する新しい会社に承継させる方法です。吸収合併は、どちらか一方のすべての権利・義務を、存続させる会社の方に引き継ぐやり方です。消滅させる会社の資産や債務、および雇用関係を含むすべての契約関係は、存続会社が継承します。
廃業する会社を買う場合、一般的なM&Aよりも安い費用で買えるケースが多いですが、明確な相場はなく、それぞれの企業の資産や事業内容、負債などを総合的に調査して価格が決定されます。
企業価値評価という計算方式があり、その方法で企業の価値を出してから、マッチングした相手同士で価格も含めて交渉を行います。また廃業する会社の価格を決める際には、純資産に基づいて評価する自家純資産法や、今後の潜在的な収益価値を判断するDCF法なども用いられます。大まかには、自己資本に営業権をプラスしたものとなります。自己資本は資産総額から負債総額を引いたもの、また営業権は年間の利益の3年分が相場です。
たとえば、後継者問題で廃業しようとしている経営者の場合、後継者となり会社を存続してくれる相手を求めているので、従業員の雇用や事業の継承を条件に、企業価値よりも安い価格での譲渡を提案してくるケースもあります。また、債務超過している企業の売却の場合は、これ以上負債を増やさないよう早めに手放したいと考えて、企業価値より大幅に安い価格で売却することもあります。
廃業する会社を買うのは、お得にM&Aの交渉ができますが、廃業する会社を見つけることが第一です。企業は廃業をなるべく避けようと考えるため、なかなか廃業するかどうかの情報を事前に掴むことは難しいといえます。
M&A仲介会社やマッチングサイトを利用して廃業する会社を見つけることもできます。M&A仲介会社では、さまざまな業界の案件を取り扱っています。また専門的な知識と M&Aの実績が豊富なアドバイザーが売り手と買い手の希望を聞き、ベストなマッチングを行ってくれます。マッチング後の交渉も行ってくれるので、希望条件に合う企業とM&Aを成功させられるでしょう。
マッチングサイトは、ネット上でM&Aの案件を売り手や買い手がチェックできるサービスです。こちらも幅広い案件が掲載されていて、気軽に利用できます。交渉してみたい案件が見つかったら、自身で行動しなければいけませんが、専門家のサポートが受けられるマッチングサイトなどもあります。
取引先や得意先など関係のあるところで廃業する企業がないか探してみましょう。同業や自社と関連する事業を手掛けている会社が見つかるかもしれません。身近に廃業する企業が見つかった場合は、相互の事業内容をよくわかっているため、話がスムーズに進むこともよくあります。また、M&A仲介会社などを通さなければ、仲介料も発生しません。
地域の金融機関や公的機関を使って廃業する会社を探すこともできます。金融機関なら、取引先の内情についてある程度わかっているため、希望する案件に近いものを教えてくれるかもしれません。また、事業引継ぎ支援センターや事業承継ネットワークといった公的機関では、M&Aに関する相談ができ、マッチングシステムを導入しているところもあるので、登録をしておけば自社に合う企業とマッチングもできます。
廃業する会社や事業を買う場合にはいくつか注意しなければいけない点があります。
廃業する理由はさまざまありますが、経営状態がどうなっているのかをまず確認する必要があります。債務超過で廃業するつもりなのか、経営者の高齢化や後継者問題でやむを得ず廃業するのかでは財務内容は大きく異なります。貸借対照表で経営の成績がわかります。また、損益計算書を見れば、会社の資産と負債を把握できるでしょう。キャッシュフロー計算書で現金の流れがわかります。これらの財務諸表を3~5年分ほどチェックしてください。
財務諸表から収益性、生産性、安全性、成長性の分析ができます。収益性と成長性が高い会社は、買い取る価値があります。
収益性と成長性が見込める企業とわかったら、さらに詳しい調査をしましょう。帳簿には記載されない簿外債務がある企業もあります。簿外債務は詳しい調査をしないとわからないので、リスクを避けるためにも必ず行います。また株式譲渡による買取を行う場合は、連帯保証などの補償債務を含む会社をすべて引き継ぐことになるので、さらに詳しい調査が必要です。
廃業する会社や事業を買いたいときには、M&A仲介会社に相談するといいでしょう。手数料はかかりますが、マッチングだけでなく細かい条件の交渉なども行ってくれるので、スムーズに買収が進みます。
ウィルゲートM&Aは、9,100社以上の経営者のネットワークを持ち、効果的なM&Aをサポートします。完全成功報酬制ですので、まずはお気軽にご相談ください。
老舗のスポーツクラブの経営者が後継者が不在のため大手に株式を譲渡する、アーリーリタイヤして蕎麦屋を経営したいと思っている個人が高齢化してきた蕎麦屋の経営者からお店を引き継ぐなど、廃業する会社や事業を買った事例はいろいろあります。
条件もケースごとに違うので、専門的な知識のある仲介業者に相談するのがベストでしょう。
ウィルゲートM&Aは、2019年10月のサービス開始から1,400社、成約は25件以上の高い実績があるM&A仲介会社です。有名企業の経営者と太いパイプを持つ強みがあります。相談料や着手金などは一切なく、完全成果報酬。M&Aが成功するまで費用が発生しないので、気軽に相談できます。
廃業する会社を買うときは、安い費用で買収できる可能性が高いので、事業拡大や人員の確保などを考えている企業にとっては狙い目です。ただし、簿外債務などのリスクもあるため、詳しい調査や信頼できるところを通してマッチングした方がいいでしょう。
ウィルゲートM&Aでは、9,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。
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