近年、後継者が不在のために廃業せざるを得ない会社が増加中です。第3者の力で事業を継続するM&Aに注目が集まっています。
この記事では後継者のいない会社を買う方法や、メリット・デメリットを解説します。
「常に黒字経営をしていて、さらに財務諸表にも問題がない」そんな優良企業なのに実は倒産の危機にあるケースが、近年増加していることをご存じでしょうか?
その原因は後継者の不在によるところが大きく、中小企業をはじめとする多くの会社が事業の継承に悩んでいます。これら後継者不足に悩む会社が、M&Aを使って事業継承をおこなう事例が多くみられるようになりました。
近年ではインターネットを介したM&Aのマッチングサービスもあり、M&A仲介業者の数も増えてきています。それにつれて仲介手数料の価格は低くなり、M&A市場は活発化。個人でも会社を買える時代がやってきています。
後継者候補がおらず事業を継続していくことが困難な会社は、どのように今後のことを考えるべきでしょうか?ここでは後継者のいない会社の対処法を検証します。
これまで、会社経営の引き継ぎ方として最も一般的だったのが、親族による継承です。親族による事業継承では、配偶者や子どもなどが後継者として事業を引き継ぎ経営を続けていきます。親族による事業継承は、株式の譲渡などもスムーズに進めやすく比較的容易な引き継ぎ方法ですが、後継者に経営の手腕がなかったり、事業を継承・発展させる強い意思が伴わっていなかったりすると、会社の経営自体がうまくいかない可能性があります。また、近年では生き方や働き方も多様化しているため、経営の引き継ぎに消極的な後継者候補も多く、親族による事業引き継ぎのケースは減少傾向にあります。
親族による事業継承のほかに、長年会社に貢献してきた従業員に経営を引き継いでもらう方法もあります。従業員による事業継承では、事業の内容やスタッフ、取引先との関係性など会社の内部事情を把握できていることが多く、経験の浅い後継者や外部の人間よりも安定して事業を引き継げる可能性があります。しかし、従業員が会社を引き継ぐためには、会社のもつ株式を買ってもらう必要があります。そのためには多くの資金が必要となるので、後継者の経済力も重要になってきます。
親族や社内の人間で事業の継承が難しい場合には、M&Aによって会社を買収してもらう方法もあります。M&Aによる事業承継では買収をおこなう企業に、後継者のいない会社をまるごと買い取ってもらい事業の存続を図ります。こうしたかたちでの事業の継承は、後継者不足に悩む企業の支持を集め近年増加の一途をたどっています。また、M&Aによる事業継承には、事業規模の規模拡大や経営力の強化などさまざまなメリットもあります。
後継者のいない会社がM&Aで事業の継続を図る方法は、すでに一般的になりつつあります。ここからは、後継者のいない会社のM&Aにおけるメリットとデメリットを考察します。
後継者のいない会社を買うことで得られるメリットとして挙げられるのが、「開業までの労力や、その後のリスクを抑えられる」ことです。すでに組織と事業が存在しているので、買い手は会社をゼロから育てる必要がありません。そして、新規のビジネスは常に順調に成長するとは限らず、最初の段階でつまずく可能性も高いものです。すでに成長している事業を引き継げることは、会社の買い手には大きなメリットといえます。
また、会社をまるごと引き継げば、登記の手続きやオフィス・人材の確保などもショートカットが可能。さらに、今まで培ってきたビジネスのノウハウや取引先・顧客リストなども手に入ります。ノウハウや顧客は本来長い時間をかけて少しずつ蓄積されてゆくものですが、それらがすでにある状態でスタートできるのは大きな強みとなります。
対して、会社を買う側のデメリットには、人材流出のリスクがあります。経営者が変わることや、待遇・労働環境の変化が従業員側が受け入れられない場合には、社員が会社を辞めてしまう可能性は大きくなります。人材が外に出ることによって、事業のノウハウが競合他社に流出する危険もあり、人材流出はM&Aの大きなリスク要因のひとつです。
また、M&Aでは譲渡企業の隠れた負債が後から発覚する恐れもあります。これらは貸借対照表には計上されていない簿外債務で、M&Aが終わってから発覚すると新しい経営者にとって大きなダメージとなる場合があります。
M&Aによる事業の継承には、売り手側にもメリットがあります。会社を廃業してしまうと、有形資産の処分や従業員への補償などをしなければならずコスト的にも大きな負担となりますが、M&Aを利用することにより、会社の存続と従業員の雇用の継続が守られます。
また、M&Aでは会社を売却することになるので、事業が現金化されます。経営者はその現金で借入を返済したり、引退後の生活費にあてたりできます。また、残った事業は新しいオーナーの力で大きく発展していく可能性もあり、その場合は従業員や取引先にもメリットとなりえます。
売り手のデメリットとしては、企業価値を買い手が決めることが挙がります。M&Aでは、売り手の会社がもつ価値が重要視されます。そして企業価値を算出して判断するのは買い手側なので、売りたい会社が思惑よりも低い価格でしか買い取ってもらえない状況もありえるのです。
また、M&Aは売り手と買い手の出会いによって決まりますが、常に理想の相手が見つかるとは限りません。どうしてもそのときの景気や買い手側の都合によって出会いの可能性は大きく左右されてしまいます。売り手側には時間的なリミットが限られている場合も多く、妥協せざるを得ない場面が出てくれば、売り手にとってのデメリットとなります。
2022年現在、後継者不足に悩む会社は増加傾向にあります。M&Aによる売却を希望している会社を買うには、具体的にどのような方法があるのでしょうか?
金融機関や保険会社などのファイナンシャル・アドバイザーや、M&A専門の仲介業者には、会社を買うためにM&A仲介の相談ができます。ただしファイナンシャル・アドバイザーやM&A専門の仲介業者のなかには、対企業で譲受・譲渡の価格が1,000万円以上になる高額案件を専門的に扱っているケースも多く、個人のM&Aに関する依頼は受け付けていないこともあるので事前に確認が必要です。
公的機関のなかには中小企業や小規模事業者に向けて、事業譲渡支援をおこなっている「事業引き継ぎセンター」があります。事業引き継ぎセンターは売り手側企業のサポートを主な業務としていますが、買い手側と後継者不在の会社とのマッチングなども業務に含まれています。事業引き継ぎに関する相談は無料で受けられ、中小企業診断士によるサポートも依頼できます。
近年、会社を売りたい経営者と買収を進めて事業を成長させたい企業をつなぐM&Aのマッチングサイトが注目されています。M&Aマッチングサイトには、さまざまな業種の売り手企業と買い手企業が登録をしており、業種や予算・地域 などの条件を設定して、自社に見合ったM&Aの相手を探せます。また、マッチングサイトのなかには契約が成立するまでM&Aの専門家がサポートしてくれるサービスもあり、企業、個人問わず多くの利用者がいます。
会社の「価格」は、その企業のもつ「価値」で決められます。企業の価値は、「企業価値評価」とよばれる計算方法で算出されます。企業価値評価では「評価の時価純資産法」や、将来的な収益価値を見る「DCF法」などが用いられ、企業の価値を判断する指標となります。
M&Aでの売却を求める企業には、明確な価格の相場はありません。これは、会社によって収益を得ているモデルや経営の問題が違うので、ひとつの基準では考えられないからです。その場合に企業価値評価の計算によって会社の価格が導き出されると、買い手側にとって有力な判断基準となるのです。
M&A専門の仲介業者やM&Aマッチングサイトには数多くの後継者がいない会社の登録があり、買い手とのマッチングを待っています。ここでは、買い手側が後継者のいない会社を選ぶ方法を紹介します。
M&Aで会社の経営者となった場合に、その会社の事業に熱意をもってあたれるかどうかが大切です。自分が面白いと思わない仕事に、時間をつかうことはあまりおすすめできません。M&Aによる譲渡を希望している会社がどのような事業をおこなっているのか、また、複数の事業を並行しているかどうかも注視しておきましょう。
会社の規模にもよりますがM&Aの予算を500万円と想定すると、個人が買える会社の業種には、飲食店・小売店、学習塾や音楽・スポーツなどの教室、WebサイトやECサイト、ゲストハウスや民泊施設、エステサロン・美容院、介護や医療関係の小規模施設、などがあります。
M&Aで会社を買収するには大きな出費を伴います。そこで、会社取得のために自分が出せる金額の上限を決めることが重要となります。無理のない予算を設定し、予算に見合った売り出し中の会社を探していきましょう。
会社の規模によって変わりますが、一般的に個人M&Aで売買される会社の価格は、およそ300万円~500万円程度のものが多くみられます。このあたりの価格帯を基準にして、自分の予算に収まる会社を選びましょう。
M&Aで買う会社を選ぶ際に、売り手側の企業が現在どのような経営状況なのかも選択基準のひとつとなります。M&A市場に売りにでている会社のなかには、経営者の高齢化によって経営が時代に追いつかず、業績が大きく悪化している会社もみられます。自分が新しく経営者となった場合に、経営を立て直せるかどうかも会社選びの選択肢となります。
後継者のいない会社を買う際に最も気をつけなくてはいけないことは、M&A対象企業へ向けた調査の徹底です。買収対象の会社経営陣との密なコミュニケーションは当然として、そのほかに「財務諸表分析」で徹底的に対象企業の経営状況を洗いだす必要があります。この時点で大きな問題があればM&Aは中止して、次の買収先を探しましょう。
財務諸表分析で問題が見つからなくても、まだまだ気を緩めてはいけません。ここからは、買収する会社との面談や交渉に注力し、更にMAの対象企業を掘り下げて調査する「デューデリジェンス」を実施していきます。M&Aが成立してから簿外債務や連帯保証などが見つかると買い手側に大きな負担となり、その後の経営の障害となりかねません。会社の調査は念には念を入れておこなうべきです。
交渉やデューデリジェンスには、M&Aの専門家を雇ってサポートを依頼するのが一般的です。M&A仲介業者へは数百万円以上の報酬が必要となるので、そちらも用意しておかなければいけません。また、M&Aは契約成立からクロージング、その後の事業運営まで気を抜けない日々が続きます。M&Aを成功させるためには、どんな状況にも対応できる精神力と体力も求められることも留意しておきましょう。
M&Aや事業継承を考えているときには公的な相談機関や士業、金融機関やM&Aアドバイザーなどに相談ができます。ここでは、後継者のいない会社を買う際におすすめの相談先を紹介します。
2022年現在、中小企業庁は全国の主要都市に「事業引継ぎ支援センター」を設置しています。また、47都道府県には「事業引継ぎ相談窓口」が開設され、後継者のいない会社に対して事業継承のサポートをおこなっています。これらの事業継承に関する機関には、買い手側もM&Aの相談ができます。
事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センターは公的な機関なので、基本的な相談は無料で受けられます。また、しつこく営業されることもなく、アドバイスは誰に対しても公平なので安心して利用できます。ただし、M&A仲介の実績に関しては、民間の仲介業者に比べると劣ります。また、相談は無料でも紹介された士業などの支援をうければ、その分は報酬の支払いが発生することも留意しておく必要があります。
既に事業を興しているのなら、付き合いのある税理士や公認会計士にM&Aの相談ができる場合もあります。
税理士や公認会計士は数多くの中小企業とやりとりがあるので、後継者のいない会社について一定以上の知識やつながりをもっているケースが多くみられます。うまくすれば自分の探している条件の会社を紹介してくれる可能性もあり、また、実務で培った知識と経験からよいアドバイスをもらえたりもします。
ただし、税理士や公認会計士はM&Aの専門家ではないので、M&A業界の最新動向や踏み込んだ内容には知見が乏しいこともあります。M&Aに関しては、こちらにもそれなりの知識と見極めが必要といえます。
M&Aのコンサルティングや仲介をおこなう民間業者は、M&Aで後継者のいない会社を買う際に相談先として最もおすすめできます。M&Aの仲介業者は企業買収のサポートを専門としている事業者なので、M&A業界の情報や企業とのつながり、弁護士や税理士など各士業との連携など、M&Aをスムーズに実行して成功につなげるために必要なものがすべて 揃っているといえます。
ただし、M&A仲介業者に依頼すれば支払うべき報酬が発生し、案件の規模によっては非常に高額になることがあります。M&Aにおいて、自ら学んで知識をつけることは必須ですが、実務や法務についてのすべてを自分でおこなうことはほぼ不可能です。専門家のサポートをうけながらM&Aを進めていくことが、安全で一般的な企業買収の方法です。M&A仲介業者に支払う報酬は必要経費と考えましょう。
後継者不足で悩む会社がM&Aを利用して事業を継承するケースは増えており、M&Aは個人の起業や中小企業の事業拡大の方法としても近年注目されています。ここからは実際に、後継者のいない会社のM&A事例をみてみましょう。
茨城県で36年間、企業の業務統括管理ソフトウェアを開発してきたT社は、創業社長が高齢化になり数年前から後継者探しをはじめていました。商工会議所の相談会などに参加して事業継承の相手を探していましたが、なかなか良い譲渡先に巡り合えずにいました。
T社社長の条件としては、譲渡後も従業員が能力を最大限引き出せる仕事を与えられ、提供する製品・サービスの質を下げないことでした。そのためにはコンピューターシステムを全体で統括できる経営者や管理者がいる企業でなければ難しいと考えていました。
商工会議所での後継者探しに限界を感じたT社の社長は、M&Aでの事業継承を仲介している会社に相談をもちかけます。その後、ソフトウェア開発に長年従事し、システムエンジニア出身の社長が経営するI社と巡り合い、M&Aをおこなって無事に事業継承を果たしました。
滋賀県で40年ケーキ店を経営してきたAさんは、高齢になり体力が衰え、店舗運営を続けるのが難しくなってきました。一時は廃業も考えましたが、従業員たちの生活もあるので事業継承先を探してみることに。以前から取引のあった銀行に相談したところM&Aの仲介業者を紹介され、ケーキ店の買い手を探すことになります。
M&A先を募集すると、買い手として2名の個人とマッチングがありました。候補者の一人は飲食店の経営は未経験だったので断り、現オーナーのB氏は厨房機器メーカーに勤務していたので、食品業界にも明るい人物でした。AさんはB氏と個人M&Aを締結し、40年続いたケーキ店を無事に事業継承しました。
富山県で薪ストーブの販売事業をおこなっていたK社は、自社の事業がオフシーズンとなる春から夏にかけての季節に、何か新しい事業をはじめられないかと考えていました。新規にゼロから立ち上げている余裕がなかったため、M&Aによる事業買収を考えてM&Aアドバイザーに相談。M&Aのマッチングを進めることになりました。
ほどなくして、近隣で森林管理や伐採をおこなっているY社が紹介されました。Y社は後継者不在によりM&Aでの事業継承を希望しており、山での仕事は春から夏までがピーク。面談を重ねる中で、木材の端材で薪ストーブの燃料を作るアイディアも浮上し、両社にとってWin-Winの理想的なM&Aとなりました。
「株式会社ウィルゲート」は2006年の創業依頼、累計で6,700社以上のWebマーケティングを支援しています。2019年からは企業買収案件に特化した「ウィルゲートM&A」を立ち上げ、2022年現在までおよそ1.500社以上の利用があります。ウィルゲートでは、これまでの取引実績から蓄積された独自のネットワークは、9,100社以上の経営者たちとのつながりを構築。最適なM&A先をスピーディーに見つけることも可能です。
ウィルゲート本体も自社のM&A経験があり、事業譲渡を2回、事業譲受を4回おこなっています。M&A実体験からの細やかなアドバイスには定評があり、M&Aを希望する企業の注目を集めています。
ウィルゲートのM&Aは完全成果報酬のかたちをとっており、着手金は無料。M&Aの相談も無料で受けられます。後継者のいない会社のM&Aをお考えの場合も、ぜひウィルゲートの無料相談を利用してみましょう。
近年ではM&Aでの起業を考える個人も多く、後継者不在の会社を第三者が引き継ぐケースが増加しています。しかし、会社を買うことは決してかんたんなことではありません。ある程度まとまった資金を用意しなければならず、M&Aが成立するまでには、さまざまプロセスを任せられる専門家の協力が必須です。
現在、個人のM&Aをサポートするサービスも増えてきています。株式会社ウィルゲートが提供する「ウィルゲートM&A」ではM&Aの専門家に無料で相談ができます。後継者のいない会社とのM&Aをお考えでしたら、まずはウィルゲートM&Aにご相談ください
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