新設分割とは会社の事業の一部もしくは全部を、新たに設立する会社に引き継がせる手法です。新設分割では計画を文書にしますが、これを「新設分割計画書」といいます。
この記事では、新設分割計画書について、記載事項や作成方法・注意点を解説します。
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新設分割とは、M&A手法「会社分割」のひとつです。まず会社分割とは会社の事業の一部または全部を分割し、他の会社に移すことをいいます。
さらに会社分割は「新設分割」と「吸収分割」の2種類に分けられます。
新設分割では会社の事業の一部または全部を分割して、新しく設立した会社に移します。新設分割する側の会社は、2または1以上の会社で株式会社もしくは合同会社に限定されています。
新設分割の例を2つ紹介します。
ここでは新設分割の手続きの流れについてみていきます。新設分割ではまず「分割計画書」を作成します。分割計画書には、新設する会社の情報や定款に定める事項、役員の氏名や設立会社へ移す権利義務などを記載します。
分割計画書を作成したら新設分割することを、従業員へ事前に通知します。従業員への通知が終わったら、株式買取請求権についての通知を行います。株式買取請求権についての通知を行うことで、新設分割に反対する株主の株式を買い取れます。
次に債権者を保護するための手続きを行います。債権者を保護する手続きが完了したら株主総会を開き、特別会議で新設分割に関する承認を得ます。
そして新設する会社と分割する会社の両方で登記申請を行ったら、効力発生日から6カ月の間、新設する会社と分割する会社の両方に事後開示書類を備置します。
ここでは新設分割と吸収分割の違いについて解説していきます。新設分割と吸収分割の大きな違いは、新しく会社を設立するかどうかということです。会社分割のうち、新たに設立する会社に事業を受け継ぐ方法が新設分割、既存の会社に事業を受けぐ方法が吸収分割です。
吸収分割ではる会社の事業を分割する側を「吸収分割会社」事業を引き継ぐ側を「吸収分割承継会社」と呼び、吸収分割承継会社は既存の会社に限られます。
意味の異なる新設分割と吸収分割ですが共通点もあります。それは会社の事業を分割する分割会社が、株式会社もしくは合同会社に限られるということです。
ここでは事業を分割する「新設分割会社」と事業を引き継ぐ「新設分割設立会社」のの種類・条件・対価についてみていきましょう。
新設分割会社は株式会社もしくは合同会社に限ります。会社法では「会社」には株式会社と持分会社があります。持分会社には「合名会社」「合資会社」「合同会社」がありますが、そのうち合名会社と合資会社は新設分割会社にはなれません。
一方で新設分割設立会社については「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」のどれでも新設分割設立会社になれます。
また新設分割設立会社は事業に関する権利義務を引き継ぎますが、その対価を新設分割会社に交付します。
新設分割の手続き・流れとしては、まず新設分割会社が新設分割計画を作成し、その後に株主総会を開いて特別決議により新設分割計画の承認を受けます。このとき作成する新設分割計画のことを「新設分割計画書」といいます。
まず新設分割計画書の概要についてみていきます。新設分割では基本的に新設分割会社だけが新設分割計画書を作成することになっているため、当事者は新設分割会社の株式会社もしくは合同会社のみです。
もし2つ以上の株式会社もしくは合同会社が一緒に新設分割するのであれば、その2つ以上の会社が共同して新設分割計画書を作成することとなります。
一方で吸収分割の場合は事業を引き継ぐ会社がすでに存在しているので、事業を分割する会社と事業を引き継ぐ会社との間で「吸収分割契約」を締結します。
新設分割は1つの会社が新設分割しようと2つ以上の会社が共同で新設分割しようと、基本的には新設分割会社だけが当事者になり、これは吸収分割との大きな違いだといえます。
次に新設分割計画書に記載する事項についてみていきます。新設分割計画で定める事項は、会社法によって決められています。会社法によって決められた内容を新設分割計画書に記載していくこととなります。
新設分割計画で定める内容は、新たに設立する会社が株式会社か合同会社かによって異なります。ただし株式会社と合同会社のどちらであっても、新設分割計画書で定める内容には共通点が多くなっています。
株式会社と合同会社で共通する新設分割計画書で定める内容については、まず新たに設立する会社を設立する目的と商号は何か・本店の所在地は何処かなどの基本的な内容です。
この他にも新設する会社の規約で定められている事項がある場合は、その事項についても新設分割計画書で定めます。
また新設分割する会社側から新設する会社に引き継ぐ資産・債務・雇用契約やその他の権利義務についても、新設分割計画書で定めなければなりません。
最後に分割対価についてです。新設分割では分割対価が必要となるため、対価として交付する株式や社債の数や種類など、対価の具体的な内容について新設分割計画書で定めます。
もし人的分割を行うのであれば新設会社の成立日に「剰余金の配当について」もしくは「全部取得条項付種類株式の取得について」を行うことについても、新設分割計画書に記載します。
新設分割では1つもしくは2つ以上の株式会社または合同会社が分割会社になります。また2つ以上のこのうち、2以上の株式会社または合同会社が共同で新設分割するケースのことを「共同新設分割」と呼びます。共同新設分割における新設計画作成では、いくつか注意するポイントがあります。
まず共同新設分割の場合は、独占禁止法にて分割の届出制度が定められているため、共同新設分割する際には分割の届出制度の要件について確認しておく必要があります。
一定の分割届出制度の要件に該当する場合は、公正取引委員会に予め共同新設分割に関する計画を届けなければなりません。共同新設分割における独占禁止法の届出要件には以下の4つがあります。
以上の場合であっても、共同新設分割するすべての会社が同じ企業結合集団に属しているケースでは届出の必要はありません。
この要件は事業の全部を引き継がせるか、もしくは事業を分割して引き継がせるかによって判断します。共同新設分割計画書を作成する際は、上記の要件に注意して作成しなければなりません。
まず印紙税とは、経済取引で作成される文書に課される税金のことで、文書を作成した人が収入印紙を貼り付けることで納められます。新設分割計画では新設分割計画書に対して印紙税が課税されることになっています。
新設分割計画書の印紙税額は1通または1冊につき4万円なので、新設分割計画書には4万円分の印紙を貼り付けなければなりません。
新設分割計画書への印紙の貼り付けは印紙税法で義務とされているので、印紙の貼り付けを忘れてしまうと忘れてしまうと脱税とみなされます。そのため、新設分割計画書を作成する際は印紙の貼り付けを忘れないようにしなければなりません。
新設分割計画書は株主総会の決議で閲覧されるものなので、新設分割会社が作成したものだと証明するために押印することをおすすめします。
特に2つ以上の会社が行う共同新設分割では、双方の会社が合意していることの意思表示として、それぞれの代表の印鑑を押印してください。
新設分割計画書は計画なので内容変更できますが、会社を分割することは債権者や株主にも影響を与えるので、かんたんに変更することはできません。
もし株主総会で承認された計画を大幅に変更し、承認された計画と大きく内容が異なった場合、一度承認を得た計画とは異なると評価されるケースがあります。
新設分割計画書を作成した後は、株主総会の2週間前など備置が開始する日から、新設分割の効力が発生する日の6カ月後まで本店に据え置かなければなりません。
新設分割計画書は利害関係者(株主や債権者など)に対して情報を提供するためのものであり、反対する株主の株式買取請求や債権者による異議を行うための判断材料となります。
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新設分割計画書を作成・変更するためには決まりや注意点がいくつかありました。新設分割を考えている人は、新設分割計画書についてもしっかり理解しておかなければなりません。
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