会社売却と聞くと、資金繰りが厳しくなり泣く泣く会社を手放すイメージがありますが、将来の経営や後継者問題にもソリューションとして活用できます。
今回は会社売却の意味から手続き、そして会社売却の費用の部分と実例までわかりやすく解説します。
会社売却はM&A手法の1つであり、一言でいうと、自社を他社に売ることです。自社の株式や事業などを相手に売却し、経営権を渡すすべての手法を会社売却といいます。会社売却後、経営権が渡るため、経営者は交代されますが、会社を構成する要素(従業員、事業、特許など)は変わらないことが一般的です。
自社を販売するための手法として、自社が発行している株式を他社に譲渡する株式譲渡や、事業の一部またはすべてを受け渡す事業譲渡などがあります。会社売却の種類とその特徴に関しては、次項でより詳しく説明します。
売却は買収してくれる相手がいないと成立しないので、売却と買収はいつも1つのセットです。M&AでいうAの部分(Acquisitions/買収)に当てはまります。
一方、M&AのMの部分(Mergers)に該当する合併は買い手側の会社に売り手が会社が統合される部分で会社売却と異なります。つまり、売り手の会社組織が解散し、所有していた事業や従業員などが買い手の会社の中に吸収されます。会社を他社に渡した後にも、今の形を存続させたい場合は、合併よりは会社売却を選んだ方がいいでしょう。
会社を売却するための手法には複数の方法がありますが、ここではその中でもよく使われる4つの方法に絞って説明します。
株式譲渡は自社が持っている株式の全部または一部を相手の会社に譲ることをいいます。それによって自社の経営権も相手の会社に渡り、自社の経営者は経営から退けます。手続きが比較的かんたんで、会社売却において一般的に使われる手法でもあります。
株式譲渡はさらに3つに分かれます。株式市場外で株主と直接取引を行う相対取引は非上場企業の株式を買い取る際によく使われます。また、株式市場でできるだけ多くの株式を短期間に買い占める市場買付がありますが、短期間で多くの株式の取引が行われ、株価が急激に上昇するリスクがあることから、あまり頻繁には使われません。
株式譲渡でもっともよく使われる手法はTOB(株式公開買付)です。事前に株式向けに希望株式買付数と価格を告知し、その条件を受け入れた株主から株式を譲り受ける方法です。株式市場外で事前に決まった価格で取引を行うので、株価に大きな影響を与える心配はありません。
事業譲渡とは、自社が持っている事業の一部またはすべてを相手に譲り渡す方法です。株式ではなく、事業自体や資産などが相手に渡るため、経営権も動きません。売り手は不要な事業や資産を売却して、新しい事業への投資金を獲得できるメリットを持ちます。
一方、買い手は新事業への参入や現事業の拡大というメリットを得ます。また、譲り受ける事業に不要な資産、負債があるなら、それらを除いて譲渡を進めることもできます。しかし、事業譲渡を行うためには従業員や取引先など利害関係者が多いため、許可を得るなどの事前作業が多いのがデメリットでもあります。
また、譲り受ける事業に必要な許認可がある場合、それは売り手に従属したものなので、買い手が別途手続きを行う必要があります。
会社分割も、自社の事業の一部、またはすべてを相手に譲る方法であり、さらに吸収分割、新設分割の2つに分かれます。吸収分割は事業の一部または全部を売り手会社から分割し、買い手に渡すことです。また、新設分割は分割した事業を既存の買い手ではなく、新設した会社に譲り渡す方法です。
事業譲渡の場合、売り手が所有していた取引先や各種契約は引き継がれないため、個別の対応が必要です。しかしケースによりますが、会社分割ではそれらが原則買い手に引き継がれることが事業譲渡との違いです。
株式交換は、売り手が発行している株式を買い手がすべて買い占め、その対価として金銭ではなく、買い手の株式を渡す方法です。売り手は自社の株式をすべて売却し、買い手の株式を受け取ったことで、買い手の完全子会社になります。
取引の中で金銭のやり取りがないため、会計上の処理もかんたんなことが特徴です。手続き後は買い手が親会社、売り手が子会社となり、子会社は事業を継続する資金や支援を得るメリットがあります。一方親会社は新しい事業への参入が容易になる、事業拡大できるなどのメリットがあります。
会社売却にはさまざまなスキームがあり、スキームごとに細かい手続きや流れは異なりますが、大きく分けると次の4つの段階に分けられます。4つの段階はさらに細かいステップに分かれます。
会社売却の目的とスキーム設定、売却の相手選定、取締役会での決議、経営者間のミーティングなど
基本条件交渉、基本合意書作成、デューデリジェンス、譲渡契約の締結など
売り手会社のクロージング、各種手続き
各ステップの詳細については、次項でより詳しく説明します。
では会社売却の流れについて、細かい11のステップに分けて説明します。
まずは自社の売却が資金調達のためか、後継者問題を解決するためかなど、売却をする目的について考える必要があるでしょう。それによって、売却に用いるスキームも異なるはずです。
自社の組織を残したまま買い手の子会社になるためには株式譲渡、事業の一部のみを売却するためには事業譲渡など、自社の売却目的やおかれた状況によって最善のスキームを選ぶべきです。
各スキームの特徴については、上記をご参考ください。
売却の目的とスキームが決まったら、次は売却相手の選定が必要です。直接買い手と交渉する方法もありますが、目的に合った適切な相手を自力で探すことは大変難しいです。そこで、専門家の力を借りることが1つのオプションになってきます。
専門家にはM&A仲介会社、金融機関、弁護士、公認会計士などがあります。そのうち、金融機関や弁護士、公認会計士などは専門分野の相談のみを請け負うため、別の相談はまた違う相談先を探さないといけないデメリットを持っています。それと比べてM&A仲介会社は社内に会計や法律の専門家が在籍していることも多く、会社売却ステップ全体にわたってサポートを受けられます。
特に会社売却が初めてなら、すべてをサポートしてくれるM&A仲介会社に依頼した方が無難でしょう。
上記のステップを進めると同時に、社内で会社売却のための同意を得る手続きも進める必要があります。取締役会が設置されている場合は取締役会にて、設置されていない場合は株主総会を開いて売却案の決議を行います。
どの売却スキームを選択するかによっても必要な会議、プロセスが変わるので、ぜひM&A仲介会社など、専門家にご相談ください。
売却の相手がある程度絞られたなら、経営者同士で面談を実施します。売り手が提示する条件を買い手が受け入れられるのか、そして経営方針や理念に類似点があるのかなど、お互いの相性を確かめる場です。買い手に十分な買収資金があるか、調達先は確かかについてもこの場で話し合いできるでしょう。
将来のための大事なステップですので、両社が希望すれば複数回行うことも可能です。また、売り手は複数の買い手と面談を行うこともできます。
経営者面談を通じて相手が決まったら、売却プロセスの基本条件の交渉に入ります。そこで売却のスキームを固めたり、売却対価を決めたりなど、売却内容の詳細を決めていきます。基本条件がある程度まとまれば、その内容を文書でまとめて基本合意書を作成します。
基本合意書を作成する前に、売却を進める意向があるという意味で意向表明書を提出するケースもあります。
まだ正式契約前の段階ですが、基本合意内容をまとめた基本合意書を作成し、締結します。基本合意書はまだ法律的な拘束力はありませんが、正式契約内容の基礎となります。こちらに記載された売却対価は、後日デューデリジェンスによって変動される可能性があります。
売り手の正確な価値を調査するため、デューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは財務状況を中心として、法務や人事、システムなど、会社全般の状況を把握し、会社の価値評価に反映する作業です。
売り手企業は買い手からの質問やデューデリジェンスのための書類準備など、対応が求められます。
デューデリジェンスを通じて売り手の適正な価値が定められたら、それを反映して正式に譲渡契約書を作成します。最終決定前に再度交渉の場を設け、そこで合意された内容が契約書に加味されることもあります。
また、契約書には売り手と買い手の義務、リスク保証、クロージング条項なども盛り込まれます。
譲渡契約書が締結された後、まずは株式譲渡や事業譲渡などの手続きが行われます。その中には売却代金の支払いや経営権移転の手続きも含まれます。また、各売却スキームによって必要な債権者保護手続きや独占禁止法手続き、その他の契約などを行います。
こちらはクロージング段階の延長線ではありますが、各売却スキームによって必要な手続きが異なるので、事前に専門家相談などを通じて把握しておく必要があります。
例えば、事業譲渡を行った際、売り手が持っていた許認可は買い手には引き継がれないので、買い手が改めて手続きを行う必要があるでしょう。
会社売却の契約がクロージングされたら、PMI(Post Merger Integration)と呼ばれる経営統合のステップを進めていきます。PMIの内容は両社のシステムや制度をすり合わせし、修正・改善することから将来の事業プランを立てることまで、多岐にわたります。
会社売却に必要な書類も、売却スキームによってその詳細や内容が変わります。次に紹介する5つの書類は、共通的に必要な書類です。
主に買い手を選定したり、交渉を行ったりするために必要な書類です。自社の業績が宣伝された新聞記事やTV番組、事業計画書などがこちらに当てはまります。
会社の基本的な情報が入っている書類で、こちらも交渉の段階で主に使われます。商業登記簿謄本や会社案内、株主名簿などがこちらに該当します。
会社の財務状況がわかる資料です。直近3期分の決算書や月次試算表などが求められます。事前交渉の段階や会社の価値を評価するデューデリジェンスなどで使われます。
会社の人的資源に関するすべての書類がこちらに該当します。財務資料と同じく、デューデリジェンスなどで使用されます。組織図や従業員名簿、労働契約書、就業規則などの人事規定がこちらに該当します。
売り手が現在他社と結んでいる契約書全般です。保険の書類や取引先との契約書、各種許認可に関係する書類などがこちらに該当します。
上記の他にも、会社売却の手続き中にはM&A仲介会社や買い手会社を含め、複数の契約書を交わします。M&A仲介会社との契約書や交渉中の秘密保持契約書、基本合意契約書などです。
契約書は非常に大きな意味を持ち、書類に漏れがある場合は売却契約自体が白紙に戻るリスクさえあります。必要な書類とその内容については、常に専門家との相談を通じて綿密にチェックしておきましょう。
私たちがスーパーなどで買い物をする際、周辺のスーパー間で比較を行い、相場より安いお店を中心に利用することがあります。会社の売却においてはそのような相場の概念はありませんが、売却を希望した時点の会社の価値を計算し、それを売却価格として交渉を進めます。
会社の売却価格の計算法には大きくコストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチの3つがあります。続いて各アプローチの特徴について説明します。
会社の純資産を用いて計算を行う方式です。貸借対照表に記載されている数字をそのまま計算に使うことを簿価純資産法、簿価を時価に換算して計算することを時価純資産法といいます。
コストアプローチは計算が比較的かんたんで、純資産という信頼できる指数を使った計算法なのでその信頼性も高いとされます。しかし、純資産は会社の現状のみを反映し、将来の収益などは反映できない弱点も持っています。
このようなデメリットを補うため、将来1~5年間の見込み利益であるのれん代を入れて計算を行う時価純資産法+のれん代方式もあります。
会社の現在の収益で、将来予想される収益を予測し、それを用いて企業価値を計算を行う方式です。企業の将来性が反映されやすいので、M&Aでの企業価値計算にもっとも一般的に使われる方式でもあります。
インカムアプローチにもさらに細かい分類はありますが、会社が現在自由に運用できるキャッシュ(フリーキャッシュフロー)がどれほどあるかで計算を行うDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)がその中でももっともポピュラーです。
しかし、あくまでも事業「計画」による見込み収益を使っているので、もし売り上げなどが予想どおりにいかなかった場合は計算が大幅にずれるという弱点も持っています。
会社の市場価値、つまり現在の株価を用いて計算を行う方式です。該当会社と類似した業界、規模の上場企業と比較を行う類似会社比較法と、直近の市場株価で価値を計算する市場株価法があります。
株価は市場価値であり、企業の価値や需要が的確に反映されるメリットがあります。しかし、市場株価は一般的な株式取引に使われる指標であり、大量の株式を一度に取引する会社売却では市場株価にプレミアムが加算されることが一般的なので、実情と指数がずれているデメリットも持っています。
会社売却にかかる主な費用な専門家相談費用と税金です。専門家相談費用はM&A仲介会社へ支払うデューデリジェンスや成功報酬などが含まれます。売却対価によって異なりますが、M&A仲介会社への成功報酬はその1~5%程度が相場だといわれています。
また、弁護士などの専門家に相談した場合、専門家の経歴や実績などによっても変わりますが、一般的に1時間2~5万円程度の費用が発生します。
税金に関しては、売り手は売却に対する金銭などの対価を得るため、それに対する税金が発生します。税金に関しても売却のスキームや各ケースによってその内容が異なりますが、ここでは大きく2つに分けて説明します。
まず売り手側は、株主が個人か法人かによってその税率が変わります。個人の場合、20.315%の税金がかかり、その内訳は住民税15.315%(復興特別所得税含む)、住民税5%です。一方、法人の場合は法人税、住民税、事業税などが掛かり、事業の規模によって税率が変わります。法人にかかるすべての税を合算した場合、その税率は約30~33%といわれています。
課税計算の基準となる譲渡所得は譲渡を通じて得た対価から各種費用(専門家への相談費用など)を差し引いた金額です。譲渡所得にケースごとの税率をかけて、税金を計算します。
一方、買い手は対価として金銭でなく株式を取得しているため、税金は発生しません。
事業譲渡による対価に関しても、税金が課され、その内訳は法人税と消費税です。譲渡の代金から純資産を引いた部分には法人税がかかり、課税資産に関しては消費税がそれぞれかかります。事業譲渡での法人税に関しても、事業の規模によって税率が変わりますので、事前に確認しておくといいでしょう。
将来の経営や後継者問題などのために、今すぐにでも会社売却を行いたい方もいるでしょう。しかし成功的に会社売却を行うためには、少なくとも2年程度の準備期間が必要だとされています。自社をより高い価値で売却するための事業戦略策定や売却相手の選定など、必要な準備内容が多いためです。
そのため、会社売却を短期的戦略でなく、中長期的な戦略として考えるべきです。今すぐにでも会社を売却して資金を確保しないと倒産してしまいそうなぎりぎりの状況になって売却を決めるより、普段の事業計画作成の中で、戦略の1つとして会社売却を検討していくといいでしょう。
また、会社売却のプロセスや売却相手の情報などを入手するために、M&A仲介会社に依頼することもいい選択肢になり得ます。M&A仲介会社の中には相談料がかからない完全成功報酬型のサービスを提供しているところも多く存在します。
今すぐ会社売却実施の計画がなくても、会社売却が将来のための選択肢になり得るか検討したいときに仲介会社を利用しておくと、将来、実際会社売却が必要となったとき、よりスムーズにプロセスを進められるはずです。
上記の売却手続きの流れでも説明していますが、自力で売却先を探すことはとても困難です。特に売却経験が少ない場合は、M&A仲介会社などに依頼した方が、よりいい売却先を見つけられるでしょう。会社売却の相談をするために、次のようなオプションがあります。
もっとも一般的に使われる相談先です。M&Aに関するすべてのプロセスをサポートし、専門家を紹介してくれることもあるので、相談先が分散されることによる煩雑さはありません。成功報酬が多少高いデメリットはありますが、事業売却を通じて得る対価やそれを資金にした新事業で得る利益を考えると、仲介会社を通じてスムーズにプロセスを進めた方が結果的に得でしょう。
各地域の商工会議所や自治体などがこれに当てはまります。その地域について精通しているため、主に地域密着型の中小企業などに必要な情報を提供します。また、売却相手の選定はサポートしても、その後のプロセスは結局民間の仲介会社などを紹介されるケースも少なくありません。
銀行や弁護士事務所、公認会計士事務所などがこちらに当てはまります。各分野の専門家であり、専門分野に関しては的確で詳細なアドバイスを得られます。しかし、専門分野外はサポートできないため、相談内容が複数の分野にわたる場合は、相談費用が膨れ上がるデメリットがあります。
Webサイトに規模条件を掲載し、売却相手を探す方法です。当事者間のやり取りが可能なので、プロセスが速いメリットを持っています。サイトによってはサイト側の専門家が交渉の仲介役や書類準備のサポートなどを担いますが、多くの場合そういった保護措置がないので、リスクに対する準備を自分でしないといけないデメリットも持っています。
会社売却を通じて、売り手は何を得られるでしょうか。メリットとデメリットに分けて説明します。
会社売却の何よりのメリットは売却を通じて金銭などの対価を得られることでしょう。売り手の経営者は得られた対価を持って負債を清算したり、新しい事業への参入を試みたり、チャレンジできるはずです。
また、経営者の引退に対する後継者問題を抱えている場合も、会社売却がいい選択肢となり得るでしょう。業績が優秀な会社を後継者がないからといって廃業するより、売却して継続させた方が売り手と買い手、社会にとって最善の選択になるはずです。
また、会社売却後も従業員の雇用は継続されるケースが多く、買い手とのシナジー効果を通じて売り手会社の事業がより成長するなどのメリットも持っています。
会社売却によって経営の主体が変わることが多く、今まで貫いてきた経営方針や理念が変わる可能性があるのがデメリットといえるでしょう。急激な変化によって既存の従業員から反感を買い、優秀な人材が流出する可能性もあります。
また、従業員の雇用も必ずしも継続されるとは約束できず、場合によっては事業改革のための人員整理を通じて、売り手側の従業員が大人数解雇されてしまうリスクもあります。
これらのデメリットを未然に防ぐためには、売却契約を項目として事業方針の継続や従業員の雇用保証などを盛り込んでおくといいでしょう。
会社売却を成功させるためにはどのような準備が必要でしょうか。ここでは会社売却を成功させるポイントを3つに絞って紹介します。
会社売却は多額の対価が求められる取引ですので、会社の価値や魅力が高ければ高いほど、よりいい条件で売却が成立することは当然です。
普段から優秀な人材の採用に力を入れる、事業を広げすぎるよりは得意分野でのシェア向上を目指す、信頼できる取引先と取引を行うなど、自社の価値を高めるための活動を地道に行う必要があります。
また、これらの魅力をうまく見せるための会社案内資料作りや積極的なメディア露出など、プレゼンテーション力もあわせて鍛えておくといいでしょう。
M&A仲介会社など、専門家に任せておけば会社売却のプロセスを進めることはできますが、重要な契約内容を検討・最終判断するのは売り手側です。普段から将来の経営戦略の1つとして、会社売却などM&Aスキームに関するリサーチをしておくと、実際のプロセスの中でよりスムーズに判断できるでしょう。
関連知識を得るために、M&A仲介会社の無料相談や無料セミナーなどを積極的に利用することをおすすめします。
M&A仲介会社は会社売却におけるすべてのプロセスにかかわるため、信頼できる仲介会社の選定が、売却の正敗を決めるといっても過言ではありません。
自社が置かれた事業分野に精通している仲介会社を選定するなど、条件に合った仲介会社を選んでください。相談料は無料のケースも多いので、複数の仲介会社の比較を行うこともいいでしょう。
会社売却にはさまざまなスキームがあるため、一言でこれが注意点ということは難しいものです。しかし、各スキームによって起こり得るリスクが異なるので、会社売却検討段階から専門家への相談や情報収集を行っておくことはとても大事です。
例えば、株式譲渡を行う際、株主の数が多すぎると一定数以上の株主の同意を得るのにかなりの時間がかかります。時間のロスはその後の買い手との交渉などにも大きく影響するでしょう。
また、場合によっては従業員が会社売却に賛同せず、優秀な人材が流出することで会社価値が下がるリスクもあります。
これらのリスクに目をつぶっていると、結果的に会社売却交渉自体が決裂することもあり得ます。常に関連法のリサーチや専門家相談を通じて、書類やプロセスに抜け漏れがないように努めましょう。
会社売却において、参考になる5つの事例を紹介します。
米国の投資ファンドであるブラックストーン社は2020年8月、武田製薬工業の子会社、武田コンシューマーヘルスケア(TCHC)を買収すると発表しました。株式譲渡による完全子会社化で、取引規模は約2400億円です。株式譲渡の成立は2021年3月31日でした。
TCHCは一般医薬品を手掛けていた会社で、代表的な商品としてアリナミンやベンザブロックなどの市販薬を保有しています。このように認知度も売り上げも高い製品を保有していたTCHCでしたが、武田はさらなる成長のための投資を行うため、今回の株式譲渡に乗り出したとされています。
一方ブラックストーンは、大衆薬事業の将来性を見据え、新たな投資先としてTCHCを選んだと見られています。
参考
https://www.takeda.com/jp/newsroom/newsreleases/2021/20210331-8252/
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-24/QFK3LDT0G1L201
チェーン店のゴーゴーカレーで有名なゴーゴーカレーグループが2019年、インド料理店サムラートを運営するスニタトレーディングの製造部門を譲り受けると発表しました。
サムラートは1980年代に創業した、老舗のインド料理店で、ハラールなど、特殊な宗教を持つ方々に対応する料理のレシピなど、豊富なノウハウを持っています。ゴーゴーカレーは近年増えているムスリム客の需要に対応するため、今回の事業譲渡に乗り出したと話しています。
サムラート側は、本来お店の味を家庭でも味わってもらう目的で、インスタント商品の開発・製造工場を新設しましたが、運営がなかなか軌道に乗らず、ゴーゴーカレー側に譲ることにしました。
参考
https://br-succeed.jp/content/agreement/post-1088
https://www.gogocurry.com/images/news/20191007gogocurrygroup.pdf
ソフトバンクグループは常にM&Aの多様なスキームを活用し、事業の拡大を図ってきました。その中でも2020年7月、同社のアニメ専門コンテンツ配信サービスを会社分割を通じてU-NEXT側に継承することを発表しました。分割の対価は2億5千万円でした。
U-NEXTは日本のコンテンツを中心にしたドラマや映画など、映像配信サービスを提供する会社です。コロナ禍による需要拡大に対応し、配信コンテンツを充実させるため今回の取引に乗り出したと見られています。
一方ソフトバンクは、アニメ配信サービスを本来U-NEXTとの業務提携で開始したものの、事業改革と経営の効率化を図るために会社分割を決心したとされています。
参考
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200720_02/
https://www.softbank.jp/corp/set/data/news/press/sbkk/2020/20200720_02/pdf/20200720_02.pdf
2016年9月、三菱ケミカルHD傘下の6社のうち、三菱化学株式会社と日本化成株式会社の2社による株式交換が発表されました。株式交換後、三菱化学が親会社、日本化成が子会社となり、彼らの親会社である三菱ケミカルが普通株式を割り当てる三角株式交換方式によって取引が行われました。
三菱化学は総合化学メーカーとして、光記録メディアなど、さまざまな技術と特許などを持っています。日本化成は無機化学品(アンモニア系製品)などの製造を行い、三菱化学グループの中でも重要な役割を担ってきました。
この株式交換は三菱ケミカル内の適切な経営資源の配置と、三菱化学と日本化成間のさらなる事業協力を図ったものだと見られています。
参考
https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/news_release/pdf/00459/00519.pdf
https://b2b-ch.infomart.co.jp/news/detail.page?IMNEWS1=324548
2019年、アサヒグループHDは豪州のビール大手のカールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)を買収すると発表しました。買収金額は約1兆1416億円であり、事業譲渡の形です。CUBはベルギーにあるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(AB InBev)が所有していた事業であり、今回の取引はアサヒとAB InBev間の契約です。
CUBは豪州市場のトップブランドであるCarltonなどを生産しており、アサヒとしては彼らのノウハウを活かし、自社製品のプレミアム化と事業のグローバル展開を図ったものだと見られています。
参考
https://www.asahigroup-holdings.com/ir/19pdf/190719.pdf
https://maonline.jp/calendars/1795
自社を継ぐ後継者がいなく、会社を継続するために売却をお考えではないでしょうか。または、新しい業界に参入する資金を獲得するため、現会社の売却を検討してはいませんが。そういう方がいましたら、ぜひ一度ウィルゲートにご相談ください。
サービス開始以来、お手伝いした企業と、Webマーケティング事業のネットワークを活かし、あなたにぴったりの売却先が見つかります。依頼前の相談料は無料です。
会社売却とは自社を他社に販売する手法全般をいい、その過程で売り手には売却対価が残ります。主に資金調達や後継者問題の解決などに用いられる方法でもあります。
会社売却の中にも株式譲渡や事業譲渡など、さまざまなスキームがあり、自社の状況にぴったりのスキームを見つけるためには専門家の力が必要です。また、スキームごとに必要な書類や手続きも異なり、それらを経験の少ない自社の力だけで解決するには時間も能力もかかります。
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