コーポレートサイトやECサイトの作成などを行うWeb制作会社では、会社の強みを増やすためにもM&Aが有効です。
本記事では、Web制作会社のM&A動向や事例、売却相場などについて説明します。M&Aを検討している方は是非参考にしてみてください。
インターネットは現代での生活において不可欠なものとなっており、インターネットに関わるweb制作業界も今後急激に衰退することは考えにくいいえます。ここでは、Web制作業界について詳しく説明します。
Web制作会社とは、企業や個人から依頼を受け、企業の公式サイトや個人が運営するECサイトなど、さまざまなWebサイトを制作する会社です。企業の公式サイトの制作を得意としている会社や、個人のブログサイトの制作を得意としている会社など、得意なサイトの種類は会社によって異なります。
元々、Webサイトの制作を行うためには、HTMLやCSSといった言語を用いる必要がありましたが、近年、簡易的にWeb制作を行えるツールが利用できるようになったこともあり、Web制作業界への参入が以前よりかんたんになっています。
また、企業以外でも、フリーランスとして個人でWeb制作を請け負っている人も増えているため、今後さらに競争が激しくなることも予想されます。
今後はWeb制作業界では企業の淘汰が進み、企業の数は減る可能性が示唆されています。それぞれの企業が得意分野をさらに伸ばすか、Webに関する総合的なサービスを幅広く取り扱うなど、強みを活かした良質なサービスを提供することで、競争の中を生き残らなければなりません。
サイトの構成やデザインを作成し、完成した構成とデザインを基にコーディングを行って、サイトを制作するのがWeb制作会社の一般的なビジネスモデルです。サイト制作後の運用やデータ分析、SEO対策などのサービスを提供している会社もあります。また、最近では動画制作を強みとしているWeb制作会社もあるなど、各会社で得意な領域が多岐に渡っています。
実際にどのようなweb制作会社があるのか、Web制作を行っている会社をいくつか紹介します。
株式会社センタードは、Web制作も行うデジタルマーケティング会社です。SEOやWeb戦略全体の改善を図るコンサルティングも得意としています。Webサイトの制作においては、分析力を活かした調査を実施し、目的達成のための提案を行う「分析型制作」を行います。
株式会社ネオインデックスは、Webサイト制作とWebサイトリニューアルを専門とする会社です。最新のトレンドを取り入れた高品質のサイト制作を得意としています。デザインやマーケティングなどの専門家チームが在籍しており、課題の解決に取り組みます。フルオーダーメイドでデザイン制作を行ってくれ、修正にも無制限に対応してくれます。
Web制作会社では、人材確保のためや、競争力を高めるためにM&Aを行うケースがあります。Web制作会社のM&A動向について解説します。
M&Aを行う目的の1つとして、競争力を高めるという点があります。Web制作会社同士がM&Aを行うことで、お互いの得意分野をより伸ばしたり、苦手分野を補ったりでき、競争力を高められます。
企業の淘汰が進むと予測されているWeb制作業界において、競争力を高めることは重要で、M&Aを検討するケースも増えると予想されます。
例えば、Webコンサルティング事業を拡大したいと考えているWeb制作会社が、Webコンサルティングを得意としているWeb制作会社を買収するケースなどがあります。
人材確保のために行われるM&Aも増えています。Web制作業界では、フリーランスとして働く人が増えてきていることもあり、人材の入れ替わりが激しく、優秀な人材の確保が難しくなってきています。転職が以前より一般的になってきたことも、人材不足に陥りやすい一因となっています。
そのため、人材の確保を重大な問題として考えているWeb制作会社も増えています。人材を確保するためにM&Aを行うことは、Web制作業界に限ったことではなく、M&Aを行う主な目的の1つとなっています。優秀な社員を多数抱えている会社を買収すれば、通常の採用フローを実行する場合に比べ、効率的に人材確保を進められます。このような目的のM&Aは、今後さらに増加する可能性があり、優秀な人材を多数抱えている会社の売却では、買い手がスムーズに見つかりやすいと考えられます。
後継者不足が背景となって行われるM&Aもあります。特に中小企業の場合には、家族や会社内に後継者となる人材がいない場合も多くなってきており、事業の存続が難しく、廃業を選ぶ会社も増えています。しかし、M&Aによる事業承継を行えば、廃業という選択をすることなく、会社を残すことが可能になります。また、Web制作業界は環境の変化が激しく、事業の先行きが不安だと考え、身内への事業承継をしたくないと考える経営者もいます。身内に会社を引き継がせるのではなく、M&Aによる事業承継で第三者に会社を引き継ぐケースも増えています。
中には、会社設立当時から、早めにM&Aを行う計画だったという人もいます。特に若年の経営者はM&Aを行うことへの抵抗感が少なく、M&Aによってイグジットすることを目標として、会社を立ち上げ成長させるという人も増えています。Web制作会社を含むIT関連の業界では、この傾向は特に顕著です。
会社売却による利益を得るために行われるM&Aもあります。例えば、株式譲渡によって会社を売却する場合では、経営者は株式譲渡による利益を得られます。
会社内の一部の事業について、事業譲渡を行った場合でも、会社側は売却による利益を得られます。会社売却によって得た利益は、生活資金に充てることはもちろん、その資金を元手として、新たな事業を開始することも可能です。
M&Aによって利益を得て、さらに収益性の高い事業を始める個人や会社のことをシリアルアントレプレナーと呼びますが、アメリカではこのシリアルアントレプレナーが数多く存在します。近年では、日本でも若い経営者や企業にシリアルアントレプレナーが増えてきており、売却による利益獲得を目的としたM&Aも増えています。
Web制作会社をM&A、売却するメリットで代表的なものとして、以下3点が挙げられます。
反対に、会社を買収する側のメリットとしては、以下のような点が考えられます。
Web制作会社を売却または買収する際には、適切な価格での取引を行うためにも、売却価格の相場を知っておくことが重要です。Web制作会社の売却価格の相場や、売却価格を算出する方法について説明します。
M&Aにおける売却価格は、売却対象の会社の規模や領域などさまざまな要件によって変動するため、個別に企業価値を評価する必要があります。一般的な中小企業の売却においては、「時価純資産+2~5年分の営業利益」が目安とされることが多いです。
また、会社の売却を検討する際には、規模や内容、業績、従業員数などが似ているWeb制作会社のM&A案件の事例を調査し、どの程度の売却価格だったのか確認しておくとよいでしょう。
「時価純資産+2~5年分の営業利益」で算出されるのは、あくまでも相場の目安です。実際のM&Aの現場では、一般的には以下のようなプロセスを踏んで売却価格が決定されます。
これらの各プロセスには、専門的な知識や経験が必要となるケースも多いため、M&A仲介会社などに依頼するのもおすすめです。
企業価値の算出には、主に以下3種類の方法があります。
これら3つの方法は、それぞれ異なる特徴を持っています。企業価値の算出には専門的な知識が必要となるため、M&A仲介会社や経営コンサルタントなどに依頼するとよいでしょう。
インカムアプローチは、将来的な収益性を基に企業価値を算出します。将来性や会社ごとの個別の価値を反映させやすいというメリットがある反面、恣意性を除外できないというデメリットもある方法です。
マーケットアプローチは、売り手企業と似たM&A取引や、類似の上場企業などを基準とし、企業価値を算出します。市場のデータを基に企業価値を算出するので、客観性が高いメリットがあります。一方で、会社ごとの個別の価値を反映させづらく、株価に左右されることがデメリットとされています。また、類似の企業がなければ、企業価値の算出が難しくなります。
コストアプローチは、売り手企業の純資産を基に企業価値を算出します。会社の帳簿を基に企業価値を算出するため、客観性が高いという点がメリットですが、将来的な収益性や市場の動向を反映しづらく、帳簿が誤っている場合は企業価値の算出はできないデメリットがあります。
Web制作会社の買収を成功させるためのポイントとして代表的なものを、いくつか紹介します。
Web制作会社の売却を成功させるためのポイントとして代表的なものを、いくつか紹介します。これらのポイントを押さえておくことで、相場より高い価格で会社を売却できる可能性が高まります。
Web制作会社のM&Aを行う際には、売り手企業が虚偽の情報を伝えてくる可能性もあるため注意が必要です。買い手側は、売り手側企業が財務や法務の問題を抱えていないか、デューデリジェンスなどのプロセスで調査しておくことが重要です。
また、M&Aの契約成立までには時間がかかるという認識を持っておきましょう。M&Aには基本的に3~6カ月かかるとされており、長い場合では1年以上かかるケースもあります。M&Aが完了するまでの間の事業計画や資金繰りを計画しておきましょう。
実際に行われたWeb制作会社のM&A事例を5つ紹介します。Web制作会社の買収や売却を検討している方は参考にしてみてください。
ソフトウェアのテスト事業や品質保証を手掛けるSHIFTは、Web制作会社のさうなしを子会社化しました。
さうなしは、Webサイトのデザイン、制作、コンサルティングを行うWeb制作会社です。デザイン力とビジネスへの高い理解力を活かし、マーケティングの視点を取り入れたコンサルティングを行っています。大手企業の直接受注案件を主としていて、コーポレートサイトやサービスサイトのほか、採用サイトやオンラインショップなど、さまざまな分野でのweb制作を担当していました。
さうなしはすべての株式をSHIFTに売却し、子会社化されました。SHIFTはこの子会社化によって、BtoC以外にBtoB領域のソフトウェアに関しても使いやすさや機能面の向上を目指すとしています。
オイシックス・ラ・大地は、ECサイト制作会社であるダイアモンドヘッドと業務提携を行いました。
また、ダイアモンドヘッドの子会社で、Web制作会社であるカラビナテクノロジーを第三者割当増資引受によって子会社化しました。
オイシックス・ラ・大地は、食品宅配サービスを行う会社で、この買収によるマーケティングのノウハウ獲得、システム開発力の強化、人材確保などを目的としています。
デザインワン・ジャパンは、店舗検索サービスであるエキテンの運用を始めとして、中小企業を主な対象とした集客支援サービスを提供している会社です。
イー・ネットワークスは、中小企業向けのWeb制作や開発のほか、サーバ関連のサービスやASP、SaaSなど幅広い事業を行っています。
デザインワン・ジャパンは株式譲渡により、イー・ネットワークスのすべての株式を取得しました。デザインワン・ジャパンによるこのM&Aは、開発のリソースを中長期的に確保し、DXソリューション事業を広げることを目的として行われました。
広告代理事業やデジタルメディア事業などを行うアイレップは、Web制作事業を行うタービン・インタラクティブを連結子会社化しました。
タービン・インタラクティブは、Webサイトの設計や開発、運営のほか、マーケティング戦略のコンサルティングなどさまざまな事業を行っている会社です。
アイレップは、この連結子会社化により、統合デジタルマーケティングの体制を確立し、デジタルマーケティングの統合支援サービスの強化を目指しています。
ECマーケティング事業などを手掛けるジェネレーションパスは、Web制作会社のカンナートのすべての株式を取得し、完全子会社化しました。ジェネレーションパスはECマーケティング事業以外にも、ショッピングサイトである「リコメン堂」を運営や、Webサイト制作、システム開発などを行っています。
一方、カンナートは、Web制作事業のほか、Webサービスの企画や集客などの運用も手掛けるWeb制作会社でした。そのなかでも、EC分野のwebマーケティングを得意としていて、ECサイト運営に関するノウハウも豊富です。Webディレクターやディレクター、エンジニアやプログラマーなど多くの人材を抱えています。ジェネレーションパスはEC分野におけるマーケティング事業やweb制作機能の強化を、この買収によって目指しています。
デジタルマーケティング事業を運営しているデジタルアイデンティティは、金融業界を主としたデジタルマーケティング事業を運営しWeb制作などを得意としている、ぱむのすべての株式を取得しました。このM&Aにより、より広い領域でデジタルマーケティング事業を行うことや、金融業界の新規顧客獲得を目指しています。
Web制作会社のM&Aでは、企業の選定や契約書の作成、デューデリジェンスなどさまざまなプロセスがあり、それぞれで会計や法律関係の専門的な知識が必要となります。Web制作会社の売買をする方法としては、株式譲渡と事業譲渡の2つの方法が一般的です。どちらを選択する場合でも、専門的な知識やノウハウを持つM&A仲介会社に依頼すれば、契約成立まで支援してくれるため安心です。
株式譲渡は、売り手側が買い手側に株式を譲渡する方法です。会社ごと売却する場合には、すべての株式を買い手企業に譲渡し、支配権を譲渡する場合には、2分の1から3分の2以上の株式を売却する必要があります。
株式譲渡のメリットとしては、事業譲渡と比べて手続きがかんたんなことや、税金を安く抑えられることなどが挙げられます。一方で、半数を超える株式を売却すると会社の支配権を失うことや、債務も買い手が引き継ぐ必要があり、負債を抱えているケースでは買い手とマッチングしづらいデメリットがあります。
一方、事業譲渡は会社の事業の一部あるいはすべてを売却する方法です。事業譲渡では、株式譲渡とは違って支配権は移転されないため、すべての事業を売却したとしても、経営者であることは変わりません。一部の事業を手放したい場合や、個人事業主が事業承継を行う場合に採用される方法です。
事業譲渡のメリットは、一部の事業のみを売却できるため、経営再建や事業の整理ができる点や、会社の経営はそのまま続けられる点などがあります。
一方でデメリットとしては、株式譲渡と比べると手続きが複雑で時間がかかることや、原則20年間の競業避止義務を負わなければならない点が挙げられます。
これまでに説明してきた通り、株式譲渡と事業譲渡では、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。それぞれの方法を検討し、自分に合った方法を選択するとよいでしょう。
また、どちらの方法も専門的な知識があった方がスムーズに手続きを進められます。不安な方はM&A仲介会社への依頼を検討するのがおすすめです。
ウィルゲートM&Aでは、15年以上Webマーケティング支援事業を手掛けていた経験があり、その経験とノウハウを活かし、最適なM&Aの取引相手をマッチングします。
ウィルゲートM&Aは、特にWeb・IT業界のM&Aを強みとしているため、Web制作会社のM&Aを検討している方におすすめです。15,100社以上の経営者ネットワークを活かし、素早いマッチングが可能となっています。
契約書のフォーマット提供のほか、交渉の場でのサポートも行うため安心です。M&A仲介、事業継承ならウィルゲートM&Aへご依頼ください。完全成功報酬制を採用しており、相談や着手金は不要となっておりますので、まずは無料でご相談ください。
Web制作会社とは、企業のコーポレートサイトや個人のECサイトなど、Webサイトを制作する会社のことです。参入のハードルが低くなったことから、今後さらに競争が激しくなることが予測されており、企業の強みを伸ばしたり、より幅広い事業を展開したりするために、Web制作会社のM&Aは効果的な戦略の1つといえるでしょう。M&Aには、企業価値を算出や相手企業の選定、条件交渉など複数のプロセスがありますが、それぞれで専門的な知識やノウハウが必要となるため、M&A仲介会社に依頼し、サポートしてもらうのがおすすめです。
ウィルゲートM&Aでは、15,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。
一般的にM&Aの成約までは6ヶ月〜1年ほどの期間を要しますが、ウィルゲートでは平均で4ヶ月、最短1.5ヶ月での成約実績、40億円以上での成約実績もあります。完全成功報酬型で着手金無料なので、お気軽にご相談ください。
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