アプリ売却・M&Aの方法や流れ、相場、事例、注意点を解説

アプリ売却・M&Aの方法や流れ、相場、事例、注意点を解説

この記事ではアプリケーションの概念・定義を確認し、アプリM&Aの相場や動向、売却の方法や一連の流れを解説します。

また、実際におきたアプリ売却M&Aの事例も紹介し、アプリの売却とM&Aについて理解を深めるお手伝いをします。

アプリ売却・M&Aの概要

アプリ売却・M&Aの概要

現代のデジタル化が進んだわたしたちの生活では、インターネットにつながることが当たり前になっています。

とくに、2010年代からはスマートフォンのユーザー数は増加しており、パソコンよりも手軽にインターネットに接続できる機器として、スマートフォンが人々のくらしの中に浸透しています。

そして、スマートフォンの普及にともなってさまざまなアプリケーションが開発され、アプリを売買するM&Aも盛んにおこなわれています。

ここからは、アプリのもつ意味と定義を明確にし、アプリ業界の市場規模や市場動向、アプリの売却を対象にしたM&Aの動向を詳しく解説していきます。

アプリの意味・定義

「アプリ」とは「アプリケーション」の略称です。アプリケーションとは「適用」や「応用」などをさす言葉ですが、現代では「アプリケーションソフトウェア」の意味で使用されています。

アプリケーションソフトウェアは、特定の作業をおこなう目的で設計されたソフトウェアのことで、「メールアプリ」や「画像編集アプリ」「表計算アプリ」などさまざまな作業にあわせて数多くのアプリが存在しています。

一般的にパソコンのソフトウェアに対してスマートフォン上で機能しているものを「モバイルアプリ」と呼んで区別します。またアプリは英語では「app(アップ)」「apps(アップス)」と発音されます。

アプリ業界の市場規模や市場動向

SensorTowerの発表によると、世界の2021年のアプリ内課金やサブスクリプションなどで発生したアプリ関連総支出は約1,330億ドル(約15兆1274億円)と推定されました。これは前年の1,111億ドル(約12兆6354億円)に比べ19.7%増加した数値になります。

アプリ市場は、2010年代より、スマートフォンの普及にともなって拡大を続けています。2020年には新型コロナウイルス感染症の拡大があり、人々は自宅でスマートフォンを触る時間が増えたといわれています。アプリストアのダウンロード数や売上率も毎年増加が続いており、この傾向は今後も続くことが予想されています。

日本国内のアプリ市場では、ゲームや動画サービスなどエンターテインメント系アプリのダウンロード率が高く、そのほかにはオンラインショッピングのアプリにも多くの利用者がいます。とくにオンラインショッピングアプリは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活様式の変化から利用者が急増しています。また、ソーシャルメディアや、金融機関と連携したfintech(フィンテック)系のアプリケーションも、利用者数が増加傾向にあります。

アプリ売却・M&A動向

アプリケーションの売却には、一般的に「M&A(Merger And Acquisition:合併と買収)」の手法がとられます。アプリのM&Aでは、アプリ単体でのM&Aからアプリ制作・運営会社を丸ごと買取るM&Aまであり、なかには、個人が開発したアプリを企業に売却するケースもみられます。

また、近年ではアプリケーションを手掛けるスタートアップ企業が、出口戦略としてM&Aでの売却をゴールとしているケースも多く、買い手となる企業も大手企業をはじめとした各社が、アプリのM&Aに積極的に名乗りをあげています。

アプリM&Aの買い手側としては、すでに多くのユーザーをかかえてヒットしているアプリを、運用ノウハウごとそっくりM&Aで手に入れてしまったほうが失敗のリスクを回避でき、なおかつ事業の成長を加速できるメリットもあります。

これらの傾向をふまえると、今後もアプリ関連のM&Aは増加していくことが予想されています。

アプリ売却・M&Aの売却相場

アプリ売却・M&Aの売却相場

アプリの売却金額の相場は、対象となるアプリと同じか近いジャンルで、登録者数や利用者数などが類似しているアプリの売却値段を相場としているケースが多くあります。

また、アプリケーションのサービス単価とユーザー数を掛け合わせた「ユーザー獲得単価」や、想定年間利益と買収額の回収にかかるであろう時間からアプリの売却金額が決まることもあります。

アプリの売却には対象とするアプリに関連した事業ごと、あるいはアプリの運営企業全体でM&Aをおこなうこともあります。この場合は売り手側の会社がもつ時価純資産と営業利益、役員報酬を2~5年分計算した金額が売却相場とされています。

このようにアプリの売却・M&Aでは条件によって売却金額の相場が変化します。またアプリの規模によっても変わってくるので、売却相場として一定の値を求めることは難しいといえます。

アプリ売却・M&Aに役立つ企業価値の算出方法

アプリ売却・M&Aに役立つ企業価値の算出方法

M&Aをおこなう際に、譲渡価格を決める基準となるのが「企業価値評価」です。企業価値評価の算出は複雑でかんたんではありませんが、大別すると「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」の3種類に分類できます。

コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、状況に合わせて最適な方法が選択されます。以下に企業価値評価の算出バリュエーションを解説します。

コストアプローチ

「コストアプローチ」は、企業の純資産を基準とした企業価値の算出方法です。コストアプローチの算出には「簿価純資産法」と「時価純資産法」、そして「時価純資産+のれん」などの計算法が使用されます。

簿価純資産法では、貸借対照表での純資産を評価額とします。対する時価純資産法は建物や土地の含み損益を加味した計算法です。時価純資産+のれんは純資産を時価評価し、そこにのれん(純資産価格と譲渡価格の差額)を上乗せして算出します。

これらの計算法を利用すれば企業価値の算出が比較的容易になり、それがコストアプローチのメリットといえます。しかし、将来的な企業価値は読み難く、そこがデメリットにもなります。

マーケットアプローチ

「マーケットアプローチ」は、市場での価値をベースとして企業価値を算出します。マーケットアプローチでは、同規模の競合他社を基準にした「マルチプル法」が用いられることが一般的です。マルチプル法の計算は、企業価値を利益と減価償却費で割った「EV/EBITDA(イーブイ/イービッダー)倍率」から導き出されます。

EV/EBITDA倍率の計算式は、EV(株式時価総額+有利子負債-現預金)÷EBITDA(営業利益+減価償却費)となっているため、この計算式を使用したマーケットアプローチは株価比較においても、世界的に利用されています。

また、マーケットアプローチではEV/EBITDA倍率の他にも、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標を用いる場合があります。PERやPBRは株式市場で頻繁に使用されており、このことからも株価や市場の動向を反映させるには、マーケットアプローチが適していることがうかがえます。

このようにマーケットアプローチは客観性の高い算出法といえ、それがメリットになりますが、一方で上場した同規模の企業が存在しないと利用できないところがデメリットといえます。

インカムアプローチ

「インカムアプローチ」は、M&Aが締結した後の見込みキャッシュフローをベースとして、期待される収益から企業価値を算出する方法です。インカムアプローチでの企業価値の算出には、「DCF(Discount Cash Flow)法」が用いられることが一般的です。

DCF法では、その事業から生み出されるキャッシュフローを割引率から導き出し、現在の価値へと割り戻します。

DCF法によって算出された事業の価値に、非事業用資産や純有利子の負債などを足し引きして企業価値が導き出されます。このインカムアプローチはM&Aが締結した後を見越して評価を下せることがメリットとなり、採用されている事例が数多くあります。

しかしインカムアプローチには、将来の収益予測が立て難い事業では算出が難しくなる欠点もあります。

アプリ売却・M&Aの方法

アプリ売却・M&Aの方法

アプリをM&Aで売却するときには、大別して「株式譲渡」と「事業譲渡」の2種類の方法があります。アプリケーションのみを売却するのであれば、事業譲渡の手法が用いられることがほとんどですが、M&Aでは株式譲渡で会社ごと売却されるケースもあります。

ここからは株式譲渡と事業譲渡について詳しく解説していきます。

株式譲渡

「株式譲渡」とは、売り手側企業の株主が買い手側企業に株式を譲渡し、買い手側から現金を受け取るM&Aの手法です。株式譲渡は事業譲渡と比較して手続きが簡便で、売却株式数の比率を柔軟に設定できます。

しかし株式の売却には譲渡益に課税があり、過半数以上の株式を売却した場合には会社の経営権も失ってしまいます。

株式譲渡は、会社を丸ごと買取る場合によく使用されるM&A手法です。株式譲渡で株を取得するためには、株式の「公開買い付け」「市場買い付け」「相対取引」などの方法が用いられます。

公開買い付け

「公開買い付け」は、「TOB(take over bid)」とも呼ばれる株式の買い付け方法です。公開買い付けではM&Aの買い手側企業が、買い付ける株式の数量や買い付け価格、買い付けのための期間などを告知することで、株式市場を通さずに既存株主から直接株式を買い集めることが可能となります。

公開買い付けには、一方的に対象企業を買収する「敵対的TOB」や、買収防衛策にもなる「友好的TOB」などの種類があります。

市場買い付け

「市場買い付け」は、株式の公開取引市場を通して株式を買い集める方法です。市場買い付けを実行するには売り手側が上場企業である必要がありますが、株を買う資金さえ用意できれば、短期間で株式を取得できるメリットがあります。

相対取引

「相対取引」は、株主と直接に交渉して株式を取得する方法です。相対取引は売り手側が未上場企業で、経営者やオーナーが会社の株式の大半を所有している場合に有効な株式の取得方法です。

事業譲渡

「事業譲渡」とは、売り手側企業のもつ事業あるいはその事業の一部を譲渡するM&A手法です。会社を全体で売買する株式譲渡に対して、事業譲渡では売却・買収する事業を選べます。事業譲渡には売り手側企業のすべての事業を売却する「全部譲渡」と、事業の一部門だけを分離して売却する「一部譲渡」があります。

事業譲渡のM&Aでは、売り手側は会社を存続させながら事業を売却し、売却益を運用して新たな事業を始めることもできます。また、買い手側企業は売り手側の負債や不必要な資産まで引き継ぐ必要はありません。また簿外債務などのリスクを事前に回避できるメリットもあります。

対して事業譲渡のデメリットとしては事業の売買に課税があることや、登記や契約などさまざまな手続きに手間と時間がかかることなどが挙げられます。

アプリ売却・M&Aの流れ

アプリ売却・M&Aの流れ

アプリをM&Aで売却する場合には、M&A仲介会社の選定から始まり、調査や資料作成、面談などいくつもの課程を経てM&Aが締結します。アプリ売却に関するM&Aの必須事項は数が多く、仲介会社のサポートを受けながら進めるのが一般的です。

ここからは、アプリ売却のM&Aにおける一連の流れと、M&Aが締結した後にやるべきことを紹介します。

①M&A仲介会社を決める

アプリを売却するM&Aの実際の流れとしては、最初にM&A仲介会社を決めます。M&Aでは会社や事業の売買以外にも、法務や財務などに関連したさまざまな手続きが必要となります。これらM&Aに必要な事項をすべて自社でまかなうのは難しく、手続きが難航すればM&A自体の成功確率も低くなってしまいます。

そこでM&Aの仲介会社にサポートを依頼することが近道となりますが、アプリ売却の特質もあるのでWeb・IT関係に精通したM&A仲介会社を選ぶことをおすすめします。

②アプリの価格査定

M&A仲介会社が決まったら、売却するアプリの価格査定と、自社の事業の調査・整理をおこないます。

価格査定は売却するアプリのユーザー数や「PL(Profit and Loss Statement)損益」の推移、そこから導き出される今後の収益の予測や事業の規模などから売却金額を決めていきます。

③資料の作成

アプリの希望売却価格がきまったら、次は資料を作成します。この資料はアプリの買い手候補への営業に使うもので、事業とアプリの概要やユーザー数、DAU(Daily Active Users)数、PL(Profit and Loss Statement)などの推移が一見して理解できる内容にします。

また、追加の資料をつけて事業の魅力や課題など、買い手側が知りたいであろうポイントを補足しておくと相手の心象もよくなります。

④買い手をリストアップする

次は、実際にアプリを買う可能性がある企業をリストアップしていきます。この段階では、M&A仲介会社が保有している会社のデータベースを最大限利用しましょう。それでも良い売却先が見つからない場合には、IT業界以外の企業も候補に入れることをおすすめします。

IT業界の会社ではなくても今後ITやアプリ事業に参入したいと考えている企業は多いので、ほかの業界も候補にいれればM&Aの選択肢が広がります

面談

アプリを売却する会社の候補が挙がってきたら、こちらの募集情報を開示して興味を示した会社と面談をします。

面談の実施にあたっては事前に買い手候補の企業とのあいだに秘密保持契約を結び、情報が外部に漏洩しないように取り計らいます。

条件提示とデューデリジェンス

面談が終了して買い手企業の候補を絞ったら、候補先とのあいだで価格や条件のすり合わせをおこないます。

条件提示が合意に至れば買い手企業側でデューデリジェンス(Due Diligence)が実施され、契約の正当性やアプリの将来性、こちらの財務状況などを徹底的に調査されることになります。

クロージングとアプリの移管

デューデリジェンスが無事に終わって双方にとって問題がないと判断されれば、契約書を交わしてM&Aのクロージングとなります。契約書にサインするには取締役会議や株主総会での決議が必要な場合もあります。

また、アプリの売却ではシステムを調整して買い手のアカウントに紐づける作業もあります。買い手側企業と交わした契約の内容によっては、アプリだけではなくサーバーや広告枠などの移管も必要になってきます。

アプリ売却にかかる期間

アプリをM&Aで売却する場合、どの程度の時間がかかるのでしょうか?アプリの売却は、M&Aの規模や売り手側と買い手側双方の都合によって違ってくるので、ケースバイ・ケースであるといえます。

売却するアプリが既に多くのユーザーを獲得しており、社会的にも広く認知されているのであれば、売却相手は早い段階で見つかる可能性が高くなります。しかし、アプリの認知度が低い場合には、なかなか買い手が見つからないことも予想されます。

アプリの売却に要する期間は早くて3カ月程度、平均すると半年前後が一般的です。しかし前述のように買い手が見つからない場合には、2~3年かかってしまうケースもあります。

アプリ売却・M&Aの成功事例22選

アプリ売却・M&Aの成功事例22選

アプリ売却M&Aの件数は、2010年代後半から現在にかけて増加傾向にあります。日本国内のアプリ売却事例以外に、海外でもアプリ売却のM&A事例が多数あります。また、国内企業と海外企業のあいだでのクロスボーダーM&Aの事例も見受けられます。

ここからは、過去に実施されたアプリ売却に関するM&Aの事例を紹介していきます。

1.楽天とFablicのM&A

「楽天グループ株式会社」(以下楽天)は楽天市場や楽天証券、楽天トラベル、楽天モバイルなど70以上の事業を手掛けている国内最大手のインターネット企業です。楽天は2016年に、「株式会社Fablic」をM&Aで買収し、自社の子会社とします。

Fablicはファッション系のフリマアプリ「フリル」の運営を手掛けており、若者世代を中心とした多くのユーザーの支持を集めていました。楽天は、フリルのアプリケーションとFablicのもつフリマ市場でのノウハウ獲得を目的としてFablicとのM&Aを締結。Fablicは楽天グループに吸収されました。

2021年現在、フリルは「ラクマ」に名前を変え、楽天グループのフリマアプリとして、多くの利用者を獲得しています。

参考
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2016/0905_01.html

2.毎日新聞とPoliPoliのM&A

2018年、国内新聞大手の「毎日新聞社」は「株式会社PoliPoli」の俳句SNSサービスアプリである「俳句てふてふ」をM&Aで事業買収しました。俳句てふてふは大学生企業家によって制作・運営されていたアプリケーションです。

俳句の検索や投稿がおこなえるSNSアプリとして、俳句てふてふは愛好家たちに強く支持されていましたが、PoliPoli側は現状の運営体制に限界を感じていました。毎日新聞社は自社の俳句事業を強化するためにPoliPoliから俳句てふてふを買収し、現在も俳句コンテンツの配信に力を注いでいます。

参考
https://mainichi.jp/articles/20180611/org/00m/040/001000d

3.アイフリークモバイルとフリー・リアルタイムアニバーサリーのM&A

「株式会社アイフリークモバイル」は、iOS・Android用アプリの開発・運営および、クリエイター育成・派遣などの事業を手掛ける企業です。

アイフリークモバイルは2018年、赤ちゃん向けのゲームアプリを開発・運営していた「フリー」と、SES(システムエンジニアリングサービス)事業および人材育成事業などを手掛ける「リアルタイムアニバーサリー」をM&Aで子会社化することに成功しました。

アイフリークモバイルは、リアルタイムアニバーサリーとフリーの2社をM&Aで買収することで、既存の自社事業を強化しながら、ゲーム開発と運営のノウハウも集めて新たなシナジーの創出を狙いました。

参考
https://co-ad.jp/news/20181227_2.html

4.メルペイとOrigamiのM&A

2016年から、スマホ決済サービス「Origami Pay」を開発・運営していた「株式会社Origami」は、フリマアプリ事業者大手「メルカリ」傘下の「メルペイ」にM&Aで買収されました。

メルペイ側はOrigamiの株式を取得し、Origamiを子会社化。新たなスマホ決済サービス「メルペイ」の提供を開始し、事業の拡大とキャッシュレス決済の普及を目指しました。

参考
https://jp.merpay.com/news/2020/01/origami/

5.オルトプラスとアクセルマークのM&A

2020年、ソーシャルゲームの企画やIT関連サービスの開発・運営支援をおこなう「株式会社オルトプラス」は、スマートフォン向けにゲームアプリの事業を展開していた「アクセルマーク株式会社」をM&Aで買収しました。

売り手側のアクセルマークは、ブロックチェーンゲームの開発と運営事業を進めるために、事業譲渡や会社分割、株式譲渡など複数のM&A手法を用い、アプリ事業を総額2,000万円で売却しました。

このM&Aによって両社は共同で事業を興せる「合弁会社」として、ブロックチェーンゲームを開発して、今後パブリッシングしていくことを発表しています。

参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000021743.html

6.COMBOとテクノモバイルのM&A

2021年3月、東京に拠点を置き、Webシステムやモバイルアプリの開発をおこなってきた「テクノモバイル株式会社」は、宮城県にあるシステム開発企業の「COMBO」によって株式譲渡のM&Aで子会社化されました。

買い手側のCOMBOは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)のシステム開発を進めており、テクノモバイルのエンジニアの獲得と、事業拡大およびシナジー効果の創出をM&Aの目的としています。このM&Aではテクノモバイルはコンボにすべての株式を譲渡し、完全子会社となっています。

参考
https://br-succeed.jp/content/agreement/post-3127

7.FacebookとInstagramのM&A

アメリカを代表するソーシャルメディア運営企業だった「Facebook(現在はMetaに社名変更)社」は、2012年に画像特化型SNSを運営していた「Instagram」を、7.15億ドル(当時のレートでおよそ810億円)で買収しました。

当時のInstagram社は、自社アプリのInstagramを2010年にリリースしたばかりで、売り上げはほとんどなく従業員数はわずか13人ほどだったといわれています。そのような小さな会社に対して巨額な資金を投入した買収劇は、アプリ関連のM&Aでは最大級としてビジネス界を震撼させました。

その後、Instagramは世界的に流行して多くのユーザーを獲得し、主要なSNSメディアの一角として現在に至っています。

参考
https://macloud.jp/media/consideration/2146

8.GunosyとゲームエイトのM&A

2020年、ゲームメディアを事業展開していた「株式会社ゲームエイト」は、情報キュレーションアプリを運営する「株式会社Gunosy」に株式譲渡のM&Aで買収されました。

売り手側のゲームエイトが運営していたゲームメディアには月間1,000万人以上の訪問者がありましたが、ゲームエイト側は、ユーザーに新しい体験を提供することと、事業の拡大を目的として会社の売却を計画。

買い手側のGunosyは、自社ニュースアプリ「グノシー」への新規ユーザー流入とゲーム関連の広告収入、そして両社のノウハウを合わせて新商品を開発することを目的としてM&Aの実施に至りました。

参考
https://maonline.jp/news/20200122c

9.ブシロードとSHOWROOMのM&A

コンテンツプロデュース企業「株式会社ブシロード」は、メディア配信サービスの「SHOWROOM株式会社」とのあいだで、第三者割当増資を受けた資本業務提携のM&Aを実施しました。

売り手側のSHOWROOMは、バーチャルシアターアプリの「smash.」やライブ動画ストリーミングの「SHOWROOM」など、配信を中心としたメディア事業を展開しています。買い手側のブシロードはトレーディングカードゲーム・デジタルゲームやアニメーションの企画・制作およびプロデュースをおこなう会社です。

このM&Aで両社は経営力を強化し、デジタルコンテンツ価値の上昇とIP(知的財産)の創出を目指しています。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20220301_7803-8/

10.日本エンタープライズと会津ラボのM&A

2007年に設立した会津大学発のベンチャー企業である「株式会社会津ラボ」は、モバイルコンテンツサービスの「日本エンタープライズ株式会社」とのM&Aによって会社売却を実施しました。

買い手側の日本エンタープライズはiOS・Android向けのアプリケーション開発を手がけていましたが、アプリ開発のエンジニア不足が課題でした。この課題の解決を目的に、さまざまなアプリ開発に取り組んでいた会津ラボとの間でM&Aが実施されました。

会津ラボ側は、日本エンタープライズの傘下として事業領域の拡大や案件受注力の強化を図りました。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20141119_4829-2/

11.トライアンフコーポレーションとC2のM&A

2018年、情報技術管理会社の「株式会社トライアンフコーポレーション」は、モバイルコンテンツ事業者の「株式会社C2」を株式交換のM&Aで買収して完全子会社としました。

売り手側のC2はさまざまなwebソリューションを企画・開発しており、iOS・Android用に向けたアプリの開発もおこなっていました。買い手側のトライアンフコーポレーションは、情報技術事業、機器製造事業などを幅広く展開しています。

このM&Aでトライアンフコーポレーションは自社の連結子会社である「インフォメーションサービスフォース」とC2を連携させ、さらなる業績拡大を目指しました。

参考
https://macloud.jp/interviews/11

12.サイバーステップとECライフコーポレーションのM&A

2018年、モバイルコンテンツ事業をおこなう「サイバーステップ株式市場」はアパレルネット通販会社の「ECライフコーポレーション」を株式譲渡のM&Aで子会社化しました。

売り手側のECライフコーポレーションには、ネット通販事業で培ったさまざまなノウハウがありました。買い手側のサイバーステップは、iOS・Android用にゲームを開発し運営していましたが、ウインドウショッピングアプリの開発にも取り組んでいました。

ECライフコーポレーションのノウハウを獲得することで、サイバーステップのウインドウショッピングアプリを成長させることが本M&Aの目的となっています。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20181101_3810/

13.ユナイテッドとトライフォートのM&A

2018年、DX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム事業者の「ユナイテッド株式会社」は、アプリ開発会社の「株式会社トライフォート」を株式譲渡のM&Aで子会社化しました。

売り手側のトライフォートは、iOS・Android用ゲームアプリなどを開発・運営していました。買い手側のユナイテッドは、広告配信のアドテクノロジーやウェブコンテンツ事業、ゲーム事業などを展開しています。

ユナイテッドはトライフォートのもつ優秀な人材とノウハウを獲得し、事業収益の安定化を目的に36億1,570万3,000円でトライフォートを買収しました。このM&A事例には続きがあり、2020にトライフォート側はユナイテッドから自社の株式をすべて買取り、再独立をはたしています。

参考
https://www.ycg-advisory.jp/knowledge/news/2018/0927_united/

14.アイモバイルとオーテのM&A

2019年、ITマーケティング企業の「株式会社アイモバイル」は、アプリ開発の「オーテ株式会社」とのあいだで株式譲渡のM&Aを実施しました。

売り手側のオーテはiOS・Android用の懸賞パズルゲームアプリなどを開発しており、「パズル de 懸賞」シリーズのダウンロード数とユーザー数は急成長をしていました。買い手側のアイモバイルは、動画広告やアドネットワークおよびアフィリエイト事業、ふるさと納税事業などを展開しています。

このM&Aでアイモバイルは自社事業のサービス体制を充実させることを目標とし、売り手のオーテは、アイモバイルのインターネット広告事業のノウハウを活用して収入の増加を目指しました。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20190401_7049/

15.識学とMAGES.LabのM&A

2020年、マネジメントコンサルティング企業の「株式会社識学」はグループ子会社である「株式会社シキラボ」と、コンテンツ制作などを手掛ける「株式会社MAGES.Lab」とのあいだで株式交換のM&Aを実施しました。

売り手側となったMAGES.Labは、モバイルゲームやアプリの開発をおこなっていました。買い手側のシキラボはシステムの開発運用事業を展開している会社です。

識学はMAGES.LabをM&Aで子会社化して、SaaS(Software as a Service)事業関連の人材を確保することを目的としています。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20190401_7049/

16.メルカリとザワットのM&A

2017年、フリマアプリ企業の「株式会社メルカリ」は、同じくフリマアプリを運営する「ザワット株式会社」を、株式譲渡のM&Aで完全子会社としました。

売り手側のザワットは、ブランド品やレアグッズなどをスマートフォンで撮影するだけで出品できるフリマアプリ「スマオク」を事業展開していました。
買い手側のメルカリは、国内最大級のフリマアプリである「メルカリ」を運営する会社です。

メルカリは、自社フリマアプリが国内最大規模にまで成長していましたが、さらなる事業基盤の強化を目指していました。メルカリ、ザワットの両社は、Eコマースの分野におけるC2C(Consumer to Consumer)事業の拡大と発展を目的としてM&Aを実施・締結しています。

参考
https://co-ad.jp/news/20170222-2.html

17.Yahoo!ジャパンコーポレーションとコミュニティファクトリーのM&A

2012年、国内を代表するIT企業の一角「Yahoo!ジャパンコーポレーション」は、ソーシャルアプリケーションの開発・運営をおこなう「株式会社コミュニティファクトリー」とのあいだで株式譲渡のM&Aをおこない、同社を完全子会社としました。

売り手側のコミュニティファクトリーは、写真のデコレーションアプリ「DECOPIC」を運営しており多くの女性ユーザーを獲得。ダウンロード数は700万件に達していました。

買い手側のYahoo!ジャパンコーポレーションは、検索エンジン関連事業やインターネット広告事業を手掛けていましたが、女性ユーザーへ向けたアプリケーションの開発と、自社ネットサービスへの流入を目標としていました。

Yahoo!ジャパンコーポレーションは、コミュニティファクトリーのもつカメラアプリのノウハウや女性ユーザー基盤の獲得を、コミュニティファクトリーはリソース豊富なヤフーの元でのさらなる事業拡大を目的としてM&Aを締結しました。

参考
https://japan.cnet.com/article/35021602/

18.TIME MACHINEと電源カフェのM&A

ITテクノロジー企業の「株式会社TIME MACHINE」は、プラットフォーム・ビッグデータ関連事業者の「電源カフェ株式会社」を株式譲渡のM&Aで完全子会社としました。

売り手側の電源カフェは、リモートワーク検索サービスの「DENGENCAFE(電源カフェ)」を運営していました。買い手側のTIME MACHINEは、スケジュール管理とオンライン名刺交換サービスの「Schecon(スケコン)」や、請求アプリ「名刺DE請求」などを事業展開しています。

このM&Aにより、DENGENCAFEとScheconの両アプリはシステム面で連携できるようになり、新しい機能の実装を目指しています。

参考
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000076337.html

19.ホリプロとshabellのM&A

2022年、総合エンターテインメント企業の「株式会社ホリプロ」は、キャリア支援・開発事業者の「株式会社shabell」とのあいだで資本業務提携のM&Aを実施しました。

売り手側のshabellは、キャリアシェアアプリ「shabell」の運営をおこない、中小・地方企業を中心に事業支援をおこなっていました。買い手側のホリプロは映像や公演など芸能関連の事業をはじめとしたプロモーション展開に強みをもっています。

このM&Aをうけてshabell側は支援企業のピーアールを、ホリプロのもつ企画力とクオリティのもとで運営していくと発表しています。

参考
https://www.niikei.jp/309765/

20.ダスキンとEDISTのM&A

2021年、清掃・ハウスクリーニングサービス大手の「株式会社ダスキン」は、ファッションレンタルサービスの「株式会社EDIST」をM&Aで買収し子会社化としました。

売り手側のEDISTは女性の暮らしをサポートする「EDIST. CLOSET」のアプリを運営していました。買い手側のダスキンは幅広い生活衛生関連サービスやフードサービスを展開。EDISTを傘下とすることで、さらなる事業拡大を目的としています。

このM&Aでは株式譲渡のスキームが採用され、譲渡金額は1,800万円と発表されています。

参考
https://masouken.com/news_releases/245

21.ベルーナとマキシムのM&A

2020年、総合通信販売企業の「株式会社ベルーナ」は、アパレル企業の「株式会社マキシム」を株式譲渡のM&Aにより完全子会社としました。

売り手側のマキシムは「KOBE LETTUCE/神戸レタス」に代表されるアパレルブランドを運営しており、Eコマースやモバイルアプリでの事業展開をしていました。買い手側のベルーナは、ファイナンスやプロパティ事業、店舗販売事業などもおこなっていますが、メインとなるのは通販事業です。

このM&Aでベルーナはマキシムのマーケティングリソースと商品開発力をグループ内で共有し、自社のEC通販部門の強化を狙いとしています。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20201021_9997-11/

22.カドカワとテンセントのM&A

2021年、国内エンターテインメント企業大手の「カドカワ株式会社」は、中国のIT企業「テンセントグループ」と資本業務提携を結びました。

テンセントグループは、カドカワ側からの第三者割当増資を引受けるかたちで株式を取得しました。

カドカワはテンセントグループ内の「Tencent Japan」と業務提携契約を結び、アプリケーションの開発・運営を通じてグローバル・メディアミックス戦略を強化し、世界市場に向けた事業展開を図っています。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20211029_9468-4/

アプリ売却・M&A仲介会社の選び方ポイント

アプリ売却・M&A仲介会社の選び方ポイント

アプリ売却のためにM&A仲介会社を選ぶときには、これまでの成約実績や関係をもつ企業の数に注目しましょう。数多くの企業とつながりをもつ仲介会社であれば、それだけ多くのM&Aの相手を紹介できることになり、よりこちらの条件にあった売却先に出会える可能性も上がります。

また、さまざまなM&A案件を経験してきている仲介会社であれば、想定外の事態にも臨機応変に対応でき、M&Aの心強い味方となってくれます。そのほかにもアプリ売却のM&Aを成功に導くポイントを詳しく解説します。

費用体系をチェックする

案件の規模によって変わりますが、M&Aアドバイザーへの報酬は決して安いものではありません。M&A期間中の費用負担を避けるためにも、費用体系を必ず精査して、着手金などの手数料がかからない「完全成果報酬型の仲介会社を選びましょう。

専門家が在籍している会社を選ぶ

M&Aでは、会社や事業の譲渡に関わる法務や税務の専門的な知識が必要となります。M&A仲介会社を選ぶときには、法律の専門家や会計・税の専門家が在籍している会社を選びましょう。

具体的には弁護士や会計士、ファイナンシャルアドバイザーなどで、これらの専門家が在籍しているM&A仲介会社ならスムーズで安全なアプリの売却が望めます。

自社の規模に合った会社を選ぶ

M&A仲介会社が自社の規模に見合った会社かどうかも重要なポイントです。M&Aの仲介会社には大規模案件しか取り扱わないところや、中小企業メインの会社、個人経営の小さな店舗からでもM&Aを請け負う会社など、さまざまな事業範囲の会社が存在します。

自社の規模や売却したいアプリの収益額などにマッチした仲介会社を選ぶことで、案件の大きさに 合った適切なM&Aの相手が見つかりやすくなります。

事業譲渡・M&A相談ならウィルゲートM&A

会社売買・M&A相談ならウィルゲートM&A

アプリの売却は個人や自社でもおこなえますが、自分たちで売却先を探して交渉から手続きまですべてを完璧にこなすのは難しいといえます。そこでM&Aの仲介サービスを利用すれば、M&Aに精通したアドバイザーの力を借りられ、効率よくアプリの売却を成功に導けます。

2006年に創業した「株式会社ウィルゲート」は、コンテンツマーケティングを中心とした事業を展開している企業です。ウィルゲートはWeb・IT業界を中心に15,000社以上の企業と関係を構築し、多くの経営者、経営陣とのあいだに強いパイプをもっています。

「ウィルゲートM&A」は、M&A案件のサポート事業として、これまでに6,700社以上の企業を支援してきました。

また、株式会社ウィルゲートは自社もM&A経験があり、事業譲受を4回、事業譲渡を2回おこなっています。M&Aの記録を実体験としてもっているだけに、的確なアドバイスと細やかな気配りができると内外から高く評価されています。

ウィルゲートM&Aのシステムは着手金無料の完全成果報酬のかたちをとっています。相談も無料でできるのでM&Aを視野に入れているなら、相談から利用してみることをおすすめします。

アプリ売却・M&A まとめ

アプリ売却・M&A まとめ

2022年現在、スマートフォンは世の中に広く普及し、ほぼ一人が一台を所有するようになりました。これまで国内のスマホアプリダウンロード数は、ソーシャルメディアや動画アプリ、ゲームなどのエンターテインメント系の需要が高かったといわれています。

しかし、今後はショッピングやスケジュール管理、金融機関とのやりとりなどパソコン上でおこなわれていたことが、場所を選ばずにスマートフォンひとつでできるようになるでしょう。これにより、生活全般にわたってアプリを利用するのが当たり前となることが予測されます。

これからは、アプリケーションの利用が生活の利便性を向上させ、それが人々の消費行動にも大きく影響してくることでしょう。そしてアプリの開発・運営は、大きな利益を生み出す可能性のあるビジネスジャンルのひとつとなっているのです。

アプリの売却とM&Aは、今後のビジネス界において重要な位置を占める出来事になると考えられます。時流を逃さないようにビジネスシーンの動向やトレンドを把握しておくこと、マーケティングや情報収集も欠かさぬよう心がけ、常にアプリの売却において最適な一手を打てるようにしておきましょう。

そして、アプリの売却にはM&Aアドバイザーによるサポートが欠かせません。そのためには、良いM&Aの仲介会社を見つけられるかどうかが成功のカギとなります。

ウィルゲートM&Aでは、15,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。

一般的にM&Aの成約までは6ヶ月〜1年ほどの期間を要しますが、ウィルゲートでは平均で4ヶ月、最短1.5ヶ月での成約実績、40億円以上での成約実績もあります。完全成功報酬型で着手金無料なので、お気軽にご相談ください。

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