米国で注目を浴びる新しい上場方法、特別買収目的会社(SPAC)とは?

米国で注目を浴びる新しい上場方法、特別買収目的会社(SPAC)とは?

SPACは特別買収目的会社のことをいいます。SPACは企業が上場することで投資家から資金調達を行います。その資金で企業買収を行うことで、買収した企業が上場会社になる仕組みです。

この記事では、SPACの意味や仕組み、メリット・デメリットなどについて紹介します。

特別買収目的会社(SPAC)とは

特別買収目的会社(SPAC)とは

SPACとは企業の買収をする「特別買収目的会社」を指します。

SPACは、未上場の企業が新規に株式を上場することで株式を売り出し、投資家から資金調達を行います。その資金で企業の買収を行い、買収した企業が存続会社となります。すでにSPACは上場しているため、買収した企業が上場会社になる仕組みです。

しかし日本ではSPACの設立は認可されていないため、まだ馴染みはありませんが、日本のトップ企業でもあるソフトバンクは欧米でSPACを積極的に行っています。

またアメリカでは非常に注目されており、急成長しているSPACは、今後日本でも導入されるのではないかと、投資家から予想されています。

特別買収目的会社(SPAC)の歴史

特別買収目的会社(SPAC)の歴史

1980年代アメリカ証券市場の1つである、「OTCブリディンボード」にて取引開始されたのがきっかけです。当初は規制が緩かったこともあり、多くの不正行為がありました。そのため、トラブルや訴訟が多発したことから、1992年にSEC(米国証券取引委員会)が規制を設け、現在のSPAC制度が確立しました。

1990年代後半になるとインターネットバブルによる大口投資家の投資先がテクノロジー企業に一時的に移ったことで、SPEC需要が低下しました。しかし2005年にアメリカ証券取引所がSPACの上場を承認したことで、一気に注目されるようになり、再度人気が浮上しています。

また近年、SPACのIPO(新規公開株)は年々件数が増加傾向です。2013年は10件ほどでしたが、2020年には156件となり、資金調達額も40倍以上になっています。取引開始した当初はさまざまな問題があったものの、近年ではSPAC制度が確立し、安心して投資できるようになった背景がわかるでしょう。

特別買収目的会社(SPAC)の仕組み・ルール

特別買収目的会社(SPAC)の仕組み・ルール

SPACの仕組みは次の流れになります。

1. 設立者が自己資金を入れてSPACの会社を立ち上げます。これが資本金です。
2. SPACのIPOによって、投資家から資金調達を行います。
3. 集まった資金で企業の買収や合併をします。
4. 合併し、買収した企業が存続会社となり上場会社となります。

つまり資金力があるほど、SPACの企業注目度が上がり、多くの投資家から資金を集めることにつながります。集まった投資資金が大きければ、大手企業の買収ができる可能性も高くなり、投資家も安心することになるでしょう。

特別買収目的会社(SPAC)のメリット

特別買収目的会社(SPAC)のメリット

SPACによる「買収される企業」と「個人投資家」のメリットを紹介します。

買収される企業のメリット

買収される企業は、上場できることにより資金調達をすることが可能になります。また通常2~3年の準備期間を要して上場する企業が多い中、SPAC会社でのIPOは、準備が整っている場合は上場までのスピードが早いメリットがあります。

IPOの審査条件は非常に厳しいものの、SPACでは審査が簡素化されるため、一般の株式会社のIPOより負担を抑えて進められるメリットもあるのが特徴です。

個人投資家のメリット

個人投資家のメリットは次の3つが挙げられます。

1.少額資金で投資可能
2.株式の途中売却ができる
3.買収ができなかった場合返還される

本来、未公開株式への投資は機関投資家や富裕層などの限られた方だけが投資できる方法でした。SPACは上場企業であるため、誰でも少額から始めることが可能です。

また未公開株式を途中で売却するのは難しいですが、上場企業であるSPACでは問題なく途中売却が可能となります。

さらにSPACは企業を買収するために投資家から資金調達をすることになるため、買収がうまく進まなかった場合、投資資金のほとんどが返還されます。

特別買収目的会社(SPAC)のデメリット

特別買収目的会社(SPAC)のデメリット

SPACによる「買収される企業」と「個人投資家」のデメリットを紹介します。

買収される企業のデメリット

買収される企業がSPACにより上場する場合、準備不足が原因で期待していた評価より投資家からの評価が低く、信頼低下につながり、株価が暴落する可能性があります。もちろん上場する前の事業収支や資本政策などを、入念に打ち合わせをして対策を考えておけば問題はありません。

実際の事例として、2014年にSPACによるIPOで、時価総額が8倍に跳ね上がった企業が、虚偽広告の疑いで株価が大暴落した事件がありました。これは「ニコラ問題」といわれています。

このように株価が上昇したものの、虚偽の疑いを行った企業に投資した事例があるため、企業を十分調べてから投資しなくてはいけないデメリットがあります。

個人投資家のデメリット

個人投資家のデメリットは次の2つが挙げられます。

1. 買収までの期間が定められている
2. 買収に失敗するリスクがある

SPACは上場してから買収するまでの期間が24カ月と定められています。つまり23カ月などになった場合、無理をしてでも買収交渉をせざるを得ないケースがあるでしょう。その際に不利な交渉をして、買収に失敗してしまう可能性があります。

また買収した企業が100%優良企業とは限りません。合併したとしても必ず株価が上昇する保障がないというデメリットがあります。

特別買収目的会社(SPAC)が米国で注目されている理由

特別買収目的会社(SPAC)が米国で注目されている理由

上記でご紹介した「2013年~2020年の間で資金調達額も40倍以上」という数字は、SPACが大きな注目を浴びる要因となりました。実際アメリカIPO市場の調達資金の半分はSPACが占めています。

その額は約300億ドル以上(2022年3月現在、日本円で3.5兆円)にもなります。この金額はアメリカ経済市場でもかなりの急成長を遂げています

急成長を遂げるSPACがアメリカで注目されている理由には次の2つが挙げられます。

1. SPACを利用する企業の増加
2. 有名投資家の参加

SPACにおいてIPOは審査が簡易で、上場までのスピードが早い特徴があります。そのため多くの企業が参加を始めています。また実績ある有名投資家や著名人がSPACに参加していることで、一般の投資家からも注目されるようになり、急成長をしている要因もあるでしょう。

海外でSPAC上場した/する予定の会社事例

海外でSPAC上場した/する予定の会社事例

2010年にスタンフォード大学から3名がスピンアウトし、Quantum Scapeという全個体電池の開発会社を立ち上げました。その後フォルクスワーゲンやビルゲイツが出資したことで、一大有名企業にもなりました。2020年にSPACの一企業に買収され、ニューヨーク証券取引所に上場しました。

その企業はKensington SPACという会社であり、自動車業界の有名投資家であるジャスティンミロが率いている企業です。現在は存続会社であるQuantum Scapeは、ニューヨーク証券取引所に上場したままの形で今もなお活躍しています。

特別買収目的会社(SPAC)の今後の動向

特別買収目的会社(SPAC)の今後の動向

日本ではまだSPACが確立されていませんが、日本の通信会社で有名なソフトバンクは、アメリカでSPACによってIPOを積極的に行っています。ソフトバンクは創業者を始め、投資会社として世界的認知度が高く、たくさんのM&AやIPOに注力している企業です。

今後日本でもSPACが確立されれば、ソフトバンクだけでなく多くの企業と投資家から注目されることでしょう。日本政府でも成長戦略の一環にSPACが盛り込まれていることから、近い将来SPACによるIPOが確立されることがあるでしょう。

企業買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

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SPACによるIPOは、近い将来、日本で確立するかを期待したいところですが、現状ではまだ確立できていません。しかし現在の日本では、企業のM&Aは積極的に行われています。

そのような中で企業の買収や、M&Aを仲介するウィルゲートはWebやインターネット、IT業界で活躍している企業です。

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特別買収目的会社(SPAC) まとめ

特別買収目的会社(SPAC) まとめ

近い将来、日本でも運用開始されるかもしれないSPACは、アメリカの動向と同じように一大市場になるか注目を浴びています。政府がSPACを認めれば、「上場までのスピード」「簡易的な審査」「今後の成長市場」から多くの企業が取り入れることでしょう。

しかしその背景にはデメリットや失敗事例も多くあります。自身が投資する際は、その企業を見極める能力を身に付ける必要があります。

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