今回は日常的にはなじみは薄いけれど、多くの人が関わる可能性を持っている「弁護士」業界について関連するキーワード分析を行い、法律事務所が検索エンジン集客で“勝つ”ためのキーワード戦略をご紹介したいと思います。
目次
狙うべきキーワードは?「弁護士事務所」関連のキーワード分析
冒頭でもお話した通り、弁護士さんを必要とするような法律的な問題というのは、
日常的にはなじみがないものです。
しかしながら、消費者問題や相続、労働者問題など、意外に身近なところに法的な問題は存在します。
困ったときに周りに詳しい人がいない場合、多くの人はネットで検索します。
人に言いづらいような問題ならなおさらです。
ですから弁護士事務所が集客の対象とするべきキーワードは、検索回数が多く、市場的なニーズも高いものが多く、
Web集客もかなり盛んに行われています。
大手法律事務所が多大な予算を投下していることが予想される中で、
リソースが限られている中小法律事務所はどのような戦略で戦っていけばよいのでしょうか?
キーワード調査をもとに考察していきます。
#調査方法
私たちが開発して独自ツールを用いてアドワーズ出稿キーワード、サジェスト、関連語を選定し、
同ジャンルのサイト20サイトを対象として検索結果の順位、内部施策状況を比較いたします。
今回はキーワードが膨大になりすぎるのをさけるため、
法律事務所が扱う法律問題の中から「離婚」関連のキーワードにフォーカスしてキーワード調査を行いました。
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対象ジャンル:法律事務所
対象サイト:法律事務所のサイト、弁護士検索ができるポータルサイト
対象キーワード数:579キーワード
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#調査項目
以下の3つの方法でキーワードを抽出し、各検索キーワードに対する内部施策状況を比較します。
①リスティング出稿キーワード
②サジェストキーワード
③関連語
キーワード抽出方法
①リスティング出稿キーワード
Googleが提供するツール「キーワードプランナー」を元にキーワードを抽出。 主に検索回数が多く出稿費用が高い、「弁護士 費用」「離婚調停」などのビッグキーワードを選定しています。
②サジェストキーワード
検索を行う際に表示される検索キーワード候補を抽出。 2語以上の複合語が多く、「弁護士 費用」「離婚調停」など弁護士、離婚関連のビッグキーワードとセットでよく検索されるキーワードです。
検索結果画面下部に表示される検索キーワード候補を抽出。
クローラーが収集したWebページ上で検索キーワードと一緒によく出現するキーワードです。
内部施策状況の比較方法
対象とするサイトのページについて以下の3つの基準で検索キーワードへの施策状況を分析します。
1.検索キーワードがタイトルに含まれている割合
タイトルとはその名の通りサイトの題名であり、検索結果に表示されます。
検索結果順位を左右する最も重要な要素であり、SEO内部施策の基本中の基本です。
特定のキーワードで検索結果の上位を狙う場合、タイトルに狙っているキーワードを含めるようにするのがセオリーです。
2.検索キーワードがページ内のテキストに含まれている割合
検索キーワードにマッチするコンテンツがページ内に有るかどうかの指標になります。
競合性の低いキーワードなどの場合、タイトルにキーワードが含まれていなくても、
ページ内に含まれているだけで上位表示される可能性があります。
3.検索キーワードで検索された際の検索結果の100位以内に自社サイトのページが含まれている割合
文字通り、対象の検索キーワードのなかであなたのサイトが100位以内に表示されているキーワードがどれくらいあるかのデータです。
検索キーワードに対応するタイトルやページ内コンテンツがある方が、100位以内にランクインする可能性は高まります。
逆に言えば、この割合が低いサイトは内部施策ができていない可能性が高いです。
では調査結果を見て行きましょう。
調査結果①:リスティング出稿キーワード
●抽出したキーワード(一部)
「離婚」や「弁護士 無料相談」など、離婚相談関連のビッグキーワード等の月間検索回数が多いキーワードを中心に抽出しています。
●対象サイトの内部施策対応状況
「離婚調停」などのビックキーワードを抽出したにもかかわらず、
タイトルに含まれている割合はかなり少なく4.6%となっています。
「旦那 浮気」のような、必ずしも弁護士事務所へのニーズがあるとは限らないようなキーワードまで
幅広く抽出したことも要因となっているかと思われます。
ページ内のテキストに含まれている割合は60%程度となっているため、
ページのタイトルを検索されるキーワードを意識したものに変えることで状況は変化するでしょう。
調査結果②:サジェストキーワード
●抽出したキーワード(一部)
「横浜 弁護士 無料相談」「離婚調停 弁護士 費用」など比較的実際の相談などに至る可能性が高いキーワードをメインに抽出しています。
●対象サイトの内部施策対応状況
タイトルに含まれるている割合が0%になってしまいました。
対象サイトは、事務所がある地域をページタイトルに入れるなどの基本的な最適化も不十分である可能性が高いです。
前項と同様にページ内のテキストに検索キーワードが含まれている割合は半分程度となっているため、
タイトルの見直しによって、上位表示されるキーワードも出てくる可能性があります。
調査結果③:関連語
●抽出したキーワード(一部)
「離婚したい 応じない」「有利に離婚する方法」など離婚を考えており、様々な情報を探している意図が感じられるようなキーワードをメインに抽出しています。
●対象サイトの内部施策対応状況
こちらの項目でも検索キーワードがタイトルに含まれる割合は0% です。
キーワードのバリエーションが幅広く細かいため、すべてのキーワードをタイトルに含むことは難しいかもしれませんが、
少しずつ最適化することがサイトへのアクセス増加につながります。
調査した結果気付いたこと
- 「弁護士 無料相談」などのビックキーワードで上位表示されているのは、政府や公的機関のサイト、弁護士検索ポータルサイト、弁護士事務所のサイトなどさまざまである
- リスティングは、ニーズが顕在化しているキーワードだけでなく「離婚」などのニーズがはっきりしていないようなキーワードでも多く出稿されており、多くのキーワードで出稿単価が高まっているため費用対効果が合いにくい
- 「離婚 弁護士 無料相談 横浜」のような相談ニーズが高まっている検索キーワードは、多くの法律事務所のサイトや自治体のサイトが上位表示されており、上位表示難易度が高まっている
- 情報収集の段階だが弁護士への相談のニーズが出てくる可能性がある「離婚したい 子どもいない」などの検索キーワードは種類が豊富であり、かつ網羅的に上位表示できているサイトはほとんどない
調査結果まとめとアドバイス
離婚関連のキーワードで検索した場合に上位表示されているのは、
「離婚調停」のようなビックキーワードの場合、公的機関のサイト、弁護士事務所のサイトが多く、
「離婚 子供あり 養育費」など細かい情報を検索しているキーワードではYahoo!知恵袋のような質問サイトが多かったです。
また、リスティングが盛んに行われており、
「離婚」のように検索回数が多いが成約に結びつく可能性が低いキーワードや、
検索回数も少なくニーズもはっきりしていない「離婚したら」などのキーワードでも多くの法律事務所が出稿していました。
この状況から、リスティングはかなり競合性が高くなっており、上位に表示されるには多大な費用を要することがわかります。
「離婚調停 弁護士 東京」のような実際の相談につながる可能性が高いキーワードは
法律事務所はもちろん各地域の自治体のサイトなども多く、リスティングはもちろん、自然検索であっても競合性は高まっています。
内容が充実しているサイトも多く、Web集客に注力している印象を受ける法律事務所も多いように見えますが、
これからWeb集客を強化したい場合どのような戦略が考えられるでしょうか?
一つの方法として、
情報収集をしている段階のユーザーを獲得できるような検索キーワードを狙うという戦略が考えられます。
この戦略についてご説明する前に検索クエリ※の種類についてご紹介します。
※検索クエリ:検索エンジンユーザーが検索を行う際に検索窓に入力する単語やフレーズのこと
検索クエリには3つの種類があり、効果的な検索エンジン集客を行うためには
それぞれの種類とその特徴を理解する必要があります。
▼検索クエリの種類
- インフォメーショナルクエリ
- ナビゲーショナルクエリ
- トランザクショナルクエリ
インフォメーショナルクエリ
情報を探すための検索。
購買意欲はなく(低く)、自分が知りたい情報を提供してくれるサイトを探している。
検索クエリの80%以上を占めるのがこの種類の検索クエリだと言われている。
ナビゲーショナルクエリ
サイト名や商品名、会社名など、特定のサイトへ移動することを目的として行われる検索。
既に購買を決定した段階が多く、サイトに流入するユーザーの中で最もコンバージョン率が高い場合が多い。
検索クエリの約10%がこの種類の検索クエリだと言われている。
トランザクショナルクエリ
何かを購入したい、もしくはお申込み・お問い合わせをしたいという意図を持った検索。
ナビゲーショナルクエリと違い、特定の商品を念頭においているわけではないが、購買意欲は高い。
検索クエリ中のわずか5%ほどと言われている。
今回ご紹介する検索エンジン集客戦略は、
情報収集をしている段階の潜在的な見込み客をサイトで獲得していくというものであり、
3つのなかでもインフォメーショナルクエリを狙っていく戦略になります。
まずはこのような戦略を執るメリットをいくつかご説明し、
その後に具体的にどのような方法が考えられるのかをご紹介いたします。
メリット1:キーワード数が多く、上位表示難易度も低い
離婚をはじめとして、弁護士事務所に相談する可能性のあること(借金、相続、消費者被害etc.)は、
各人によって状況も違うため、検索キーワードもより細かく多種多様になります。
例えば「離婚したい 相手が一切応じない」や「旦那の浮気 離婚 合意させる手順」など、同じ離婚を考えている段階であっても、状況によって検索キーワードは変わるため、
それぞれのキーワードに合わせてコンテンツを作成することで、多くのアクセスを獲得する可能性が広がります。
また、上記のようなキーワードは、すぐに来所に繋がるわけではないため熱心に対策しているサイトがほとんど無く、
「離婚調停 弁護士 東京」のようなキーワードのように競合性が高まっていません。
キーワードの属性上、すぐに実際の相談につながるわけではないものの、
キーワード数も多く、競合もまだあまり注力していないため、これから強化するのに向いているのです。
メリット2:顧客との接触時期の早期化と信頼獲得
弁護士への相談が必要なときというのは、
人生の中でも岐路に立たされているようなタイミングであることが多く、
長期間悩んだ結果として弁護士に相談する、という場合が多いです。
ユーザーは悩んでいる期間に情報収集のためにいろいろな検索キーワード(=インフォメーショナルクエリ)で検索を行っています。
つまり、インフォメーショナルクエリで対策を行うことで、ユーザーに出会うタイミングを早めることができ、実際の相談の前に複数回ユーザーに接触することが可能となります。
この効果によって得られるメリットとして一番大きなものは、
ユーザーからの信頼を獲得しやすくなるということです。
弁護士に相談するというのは一般ユーザーからするとかなりハードルが高く、
費用などはもちろん、相談する弁護士さんの人柄などがわからず不安を感じます。
ですから、信頼感を与え安心してもらうことは 非常に重要です。
検索クエリは言わばユーザーからの質問であり、
その質問に丁寧に、専門的知見も含めて答えてくれるコンテンツを提供してくれるサイトはユーザーの信頼の対象となります。
様々なキーワードに対応するコンテンツを用意することで、
ユーザーがあなたのサイトに触れる機会が増加し、接触回数を増やすことで信頼は深まっていきます。
また、弁護士の立場から考えても、早い段階で正しいアドバイスを与えることで、
実際の案件となった場合により有利に進められる可能性が高まり、案件の質が高まります。
メリット3:ドメインの強化につながり、競合性が高いキーワードでも上位表示が狙える
インフォメーショナルクエリを狙うということは、
ユーザーにとって価値のあるコンテンツを追求することです。
そして、ユーザーにとって価値の高いコンテンツはソーシャル・ネットワークで拡散されやすく、
自然な被リンクを獲得し、あなたのサイトのドメインの強化に繋がります。
現状は費用のかかるリスティングに出稿するという選択肢しか取れないような、
成約率も高く競合性も高い「離婚相談 弁護士 東京」のようなキーワードであっても、
ドメインが強化されれば、競合よりも上位に表示される可能性が高くなります。
インフォメーショナルクエリを狙うという施策は、少し遠回りに感じられるかもしれませんが、
すぐに顧客になるユーザーの検索キーワードを狙う戦略と並行して行うことで、
常に顧客に困らない状況を作り出すことが可能です。
では具体的にどのような施策を行えばよいのでしょうか?
方法1:ブログの運営
最も簡単に始めることができ、かつ効果的な方法がブログ運営です。
離婚に限らず、事務所で扱う法律問題に関して、
どのような検索キーワードがあるか分析し、キーワードから読み取れるユーザーの疑問に答えられるような内容のブログを執筆します。
ブログは文中に多くの細かいキーワードを含めることができるため、
インフォメーショナルクエリのような、種類が多く細かいキーワードを狙うのに適しています。
※具体的なキーワードは市場の状況や事務所の強みなども加味して考える必要があるため、ご興味ある方はご相談ください。
方法2:事例ページの追加・タイトルの付け方を工夫
公開できるような事例や相談内容がある場合、有効な施策です。
また、すでに事例ページはあるという方であれば、今すぐに簡単な修正を加えるだけで効果を得られる可能性が高いです。
事例はリアルな相談内容がわかるため、案件内容を少しタイトルに含めることで、
似たような状況で悩んでいるユーザーの検索キーワードに対応できます。
事例コンテンツは検索エンジン集客上も効果的ですし、
ユーザーから信頼を獲得するという観点からも有効ですので、
サイトに積極的に追加することをおすすめします。
戦略についてのご説明は以上となりますが、せっかくインフォメーショナルクエリを狙って上位表示されても、
検索結果画面でクリックしてもらえなければサイトへの流入は増えませんので、
検索結果上でクリックされやすくする小ネタをご紹介できればと思います。
それは著者情報の表示です。
著者情報とは以下のように検索結果の一覧に追加で表示される、
該当ページが誰によって作成されたものなのかを示す情報です。
人の目線は人物の写真に行きやすいようになっているので、
著者情報を明記することで、検索結果画面で注目を集めることができ、クリックされる確率も高まります。
また、誰が書いたかの情報が明示されていることで安心感を与えられますので、サイトやコンテンツへの信頼を強めることもできます。
これはGoogle+というGoogleが運営するSNSのアカウントと、サイトを紐付けることによって可能となります。
紐付ける方法はGoogleが提供するこちらのページでご覧ください。
余談になりますが、今後Googleは「誰が書いたか」を重視していくという方針を発表しています。
クリック率向上に貢献する著者情報登録ですが、今のうちに設定しておくことで期待以上の効果を発揮するかもしれません。
以上、法律事務所がWeb集客を行う場合のアドバイスをご紹介しました。
今回は離婚関連キーワードでしたが、
同じような要領でその他のカテゴリのキーワード(借金や相続など)にも応用が可能ですので、
ぜひ取り組んでみてください!
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