Webサイトを運営しているマーケティング担当者様の中には、SEOに強い競合サイトが多く流入数の確保に苦戦していたり、あるいは「流入は増えてもなかなか問い合わせにつながらない……」といった課題感をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
もちろんPV数の増加が直接売上に貢献していく収益モデルのサイトも存在しますが、多くのサイトでは問い合わせなどのユーザーのアクションがあって初めて売上に繋がります。
今回は不動産領域の専門情報サイトを運営されているアットオフィス様へのコンサルティング内容から、「強化領域を絞ったSEO対策でお問い合わせ数が2倍になった事例」をご紹介させて頂きます。
目次
お客さまと担当コンサルタントのご紹介
お客さまのご紹介
会社名:株式会社アットオフィス
代表取締役:谷 正男 さま
インタビューイー:執行部統括部長 岡田 育浩 さま
設立:2012年4月
資本金:グループ総計1億2000万円
従業員数:55名(2019年7月現在)
事業内容:オフィス仲介事業、オフィス内装事業など
施策対象サイト:at OFFICE
担当コンサルタント
名前:H・N
経歴:シニアコンサルタント
オーダーメイドウェディングドレス販売事業の経営・マーケティング戦略に14年間携わった後、ウィルゲートへ入社。入社後3年間、シニアコンサルタントとして50社以上のお客さまのSEO施策の支援を担当している。
抱えていた課題
ーアットオフィスさんの事業内容について教えてください。
岡田:
アットオフィスでは、東京都を中心に賃貸オフィス・貸事務所を探されている方に向けた事業を展開しています。具体的には、オフィス物件の検索サイト「アットオフィス」の運営や、オフィス移転を検討されている方のコンサルティングなどを行っております。
私たちが運営しているアットオフィスは東京都を中心とした法人向けオフィスの検索サイトなので、都心の千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区などでオフィスを探されている方が圧倒的に多く、それらの方々がサービスのメインターゲットになります。
あとは、設立が若い会社の方のご利用が多いですね。大手の会社さんだと特定の取引先がすでに存在しているケースが多く、Webで検索して問い合わせされる方は少ない印象です。
ーどのような課題を抱えていらしたのでしょうか?
岡田:
アットオフィスのセッションを増やし問い合わせに繋げようと2010年前後からさまざまなSEO会社さんにコンサルティングを依頼していたのですが、ウィルゲートさんが入るまでの8年間はずっと何をやってもダメな状況でした。
ペナルティを何度も受けてしまったりと、散々な状況で。主軸キーワードとエリア名を掛け合わせたキーワードで順位が上がったこともありましたが、大きめのキーワードではなかなかうまくいきませんでしたね。
SEO以外のマーケティングではWeb広告がある程度うまくいっていたのですが、広告以外に中心となるようなセッションがほとんどない状況でした。
ウィルゲートに依頼することになった経緯
ーそのような課題があった中、どのような経緯でウィルゲートに依頼されることになったのでしょうか?
岡田:
オフィス仲介事業の成長が頭打ちになり、なかなか一定の売り上げ規模から拡大ができない状態に陥っていたのですが、創業の本業に回帰するというテーマの中で、再度営業人員の採用の計画が上がって、その人員の増員に合わせて、営業先の拡大が必要になることになりました。広告だけでは得られる問い合わせに限界があるので、再度ダメもとでSEOもやっておこうと。
H・N:
ちょうど私がアットオフィスさんのコンサルティングに入るタイミングで、サイトのリニューアルがありましたね。2018年の2月から6月くらいの時期ですね。
岡田:
そうですね、リニューアルはH・Nさんにも一緒にやってもらって。当時、実は「今回もそこまで順位はあがらないかもな」と思ってました。今まで8年間近くほとんど成果が出た試しがなかったので(笑)。
ですので「コンサルティング期間中に急激にあぶないことはしないでほしい」というリクエストはしてましたね。過去にペナルティを受けたことがあったので。
セッションは3倍以上、問い合わせも2倍に
ーそれでは、実際にどのような施策を行ったのでしょうか?
H・N:
最初は強化するキーワードを絞り込むために、キーワードの洗い出しを行いました。次に洗い出したキーワードを整理し優先順位をつけ、そのうえで実際の施策に落とし込んでいきました。
キーワードの洗い出しフェーズでは、まずアクセス解析ツール上の流入キーワードデータを確認し、更に「今の検索順位は低いが、アットオフィスさんとマッチするキーワード」も専用ツールを用いて調査していきます。
その上で、エリアや条件との掛け合わせキーワードの一覧を作成し、狙うべきキーワードの優先順位付けを行っていきました。
ここでは、検索ボリュームは少なくてもコンバージョンにつながる可能性が高いキーワードもあるため、ロングテールのキーワードまでしっかり網羅することが重要です。
施策フェーズでは、自社サイトと競合サイトを徹底的に調査し、ベンチマークとする競合サイトと比べて不足している要素を埋めていきました。
この競合サイトの選定にも注意点があります。
まずビジネス上の競合サイトとSEO上の競合サイトとは100%同じになるとは限りません。
むしろ、ビジネスモデルは違ってもSEO上は競合になりうるサイトがある場合がほとんどです。ですので、ビジネス上の競合だけでなくSEO上の競合も含め、合計で約20サイトのドメイン評価、獲得キーワード、順位などを調査しました。
ここまで調査したうえでベンチマークサイトを定め、アットオフィスさんがベンチマークサイトに劣っていると考えられる差分を徹底的に埋めていく作業を実施しました。
ー具体的に、どのような結果が出たのでしょうか?
岡田:
あまり伸びないだろうと思っていたセッションは前年(2018年)と比べて3倍以上、問い合わせ(CV)も約2倍となりました。
H・N:
コンサルティングに入る2018年以前の話でいうと、2017年から2018年まではずっとセッションが落ちつづげていて、2018年初頭はセッションが一番減ったタイミングでした。調子の悪い時期からのコンサルティングだったので不安はありましたが、結果としてきれいな右肩上がりにセッションを成長させることができてよかったです。
岡田:
ここ半年はコンテンツSEOでセッションが安定して取れていて、「より明確にターゲットをしぼった運用」段階にステップアップできている点がとてもいいですね。もうセッションで一喜一憂せずに「ターゲットからの問い合わせがきてはじめてうれしいと思える」ような状態に格上げされています。現状はH・Nさんとも狭義のSEOに限って話をすることはほとんどなく、サイトへ流入した後のユーザの態度変容についてもセットで話をしています。
ーコンサルティングを実施する中で、特に意識していたポイントはなんでしょうか?
H・N:
コンサルティングさせて頂く中で「単純にセッションだけ伸びても仕方がない」というところは常に意識していました。
目的は、アットオフィスさんの収益につながるユーザーを獲得することなので、そのために事業モデルや営業状況、運用体制などを徹底的にヒアリングしました。事業を理解することで初めて、どんなキーワードで流入を獲得すれば問い合わせやその後の売上に繋がる可能性が高いかがわかります。
目的がただセッションを増やすことだけになってしまうと、余計な施策やコストも増えてしまうので「お客様の利益に繋げるためには何をすれば良いか?」というところから掘り下げて施策に落とし込んでいくことが大事だと思っています。
いちSEO担当としてではなく、事業方針に沿った施策が提案できるコンサルタントになれるかが重要
ー施策の内容以外に、ウィルゲートに価値を感じられていたポイントはありましたでしょうか?
岡田:
姿勢の面ですね。何か1つの施策の結果が出ないってことは、よくある話で。それら1つ1つに文句を言う気持ちもそんなにないんですよ。施策を打ってみたけどいまいち効果が出なかったときに、話し合いながら次のステップを考えていけるような信頼関係が重要だと思っています。
H・Nさんは私たちの事業のことについて、うちの営業マンと同じくらいに分かってくれています。もちろん私ほどじゃないですけど(笑)。事業を理解してくれていると提案の方向性自体に間違いがないので安心です。結果の良し悪しももちろん大切ではありますが、ダメだったときにどうカバーしてくれるかのほうが大切。
もし方向性がずれていると「順位があがってますよね」と言われても「いや、うちにとって重要じゃないキーワードで順位が上がってしまっているんですけど」みたいな事態が発生するじゃないですか。
H・NさんはいちSEO担当者という感じではなく、お互いの認識に齟齬がなく話し合えるので、助かりますよね。
「マーケティング全体でどういう戦略を立てていくか」が今後の課題
ー実際に施策を進めていく中で、どのような点が難しかったでしょうか?
H・N:
セッションが増えることは基本的にはいいのですが、「増えすぎてしまうと困る」のが難しい点の一つでしたね。
SEOは基本的に「セッションを増やそう」という施策になることが多いです。しかし、アットオフィスさんの場合はニーズがかなりしぼられていて。ターゲットが特定の地域に限定されているので、ただセッションを増やせばいいものではありませんでした。
意図せぬターゲット外のユーザーさんがサイトに流入してきても、結局、コンバージョンには繋がりません。
それだけならまだしも、アットオフィスさんはターゲット地域以外のユーザーさんからの問い合わせにもきちんとご対応されているので、結果としてサポートコストだけが増えていくことにもなりかねません。
そのため初めから特定地域・人気地域に絞ったセッションを獲得する戦略を取りました。地域性の薄いキーワードに広げてやりすぎてしまうと、意図せぬターゲット外のユーザーさんが増えてしまうため、そのコントロールの難しさはありましたね。
岡田:
そうですね。当時は順位を上げて問い合わせ総数を増やそうとしつつも、対象地域以外の問い合わせを増やさないようにするためにはどうすれば良いのか、議論にもかなり時間をかけましたね。
ーセッションや問い合わせで結果が出ている今、本来の目的である売上・利益に繋げるため、どのような話をされているのでしょうか。
H・N:
ターゲットにぴったり合ったキーワードでもまだまだセッションを伸ばせる可能性は残っていますので、引き続きセッションは増やしましょうという話はしています。ただそれでも一定の割合でターゲット外のユーザーさんも混じって流入しくるため、流入後に特定のページやLPに遷移させアットオフィスさんの方向性や特徴を押し出すことで、ターゲットからの問い合わせだけを増やしていき売上・利益に繋げていこうという話をしています。
もちろん簡単なことではありませんが、この流れが作れれば、SEOだけでなく他のマーケティング手法でもより効率的なアクションを取ることが可能になると思います。
検索サイト自体もコモディティ化してきていて、サイトの機能で差別化していくのかも難しくなってきていると思います。サービスだけで差別化できなければ、マーケティングで差別化するしかない。「マーケティング全体でどういう戦略を立てていくか」という話をしていかないといけない、というのが今の課題だと思っています。
岡田:
セッションが伸びて、問い合わせも安定してきたため、より売上やコストを意識して施策についてH・Nさんと議論できるようになりました。
今回のSEO対策の成果で会社としても短期的に困らない状況になってきているのも、今のテーマに進めていることの理由の一つです。
今後もターゲットを絞ったセッション増を続けながら、より成長を加速させていきたいですね。
─ ありがとうございました
まとめ
今回はアットオフィス様のコンサルティング事例を元に、お問い合わせ数やセッション数を伸ばすために行った施策をご紹介させて頂きました。
同じお悩みをお持ちの方は、ぜひウィルゲートまでお問い合わせください。
また、ウィルゲートでは様々なセミナー・説明会も開催しておりますので、この機会にぜひご参加ください!