サイトへのアクセスを増やすためにSEOに取り組むという方は多いでしょう。そういった場合まず考えるのが、サイトのページ数を増やすことではないでしょうか?
しかしながら、サイトのページ数を増やすことと同じくらい重要なのがサイト内部の最適化です。
今回はサイトの内部リンクを最適化することで検索エンジンからのアクセスを増やした事例をご紹介します。
内部対策を行う上で理解しておきたい「インデックス」「クローラー」などの概念も説明しながら、具体的な施策内容をお伝えします。
トップコンサルタントが教える、ユーザー投稿型サイトのSEOアクセスを175%増加させるためにやった5つのこと
目次
SEO内部対策の効果
サイトの内部を修正した結果、オーガニックのアクセスが175%増加しました。
ランディングページ数は110%、流入キーワード数は109%増加しました。コンテンツ追加によるページの増加率は100.3%ほどなので、内部施策によってすでにあったページの集客効率が高まったといえます。
それでは実際に行った施策を、詳細に解説していきます。
対象サイト:暮らしの知恵が集まるユーザー投稿サイト「暮らしニスタ」
今回調査を実施したのは「暮らしニスタ」という主婦向けメディアです。
ユーザーが暮らしにまつわるアイデアを投稿できる仕組みになっています。
知りたい!教えたい!暮らしのアイデアがいっぱい!
「暮らしニスタ」
このサイトの検索エンジン集客上の課題を発見し、キーワード戦略を考えていきます。
<調査担当者>
Webコンサルタントとしてアカウントプランニングを担当。月間MVPや四半期MVPなど数々の賞を受賞した経歴を持つ。
年間150社以上のWebマーケティング戦略のプランニングに携わる。
<暮らしニスタ運営担当者>
2015年新卒入社。暮らしニスタではSNSの運用やカスタマーサポートと中心とした運用業務全般を担当。サイトへのアクセスを増やすためにSEOも勉強中。
内部リンク最適化の前に理解しておきたいこと
ここでは今回の事例を理解するうえで特に重要な3つのものについて説明します。「もう知ってるよ!」という方は読み飛ばしてくださいね。
- インデックスとは
- クローラーとは
- リンクジュースとは
インデックスされる、とは?
インデックスとは、「索引、見出し」を意味する英単語で、SEOにおけるインデックス(Index)とは検索エンジンに格納されたWEBサイト・WEBページの情報を意味する。
出典:インデックス(SEO)とは?意味 | IT用語辞典 サバナビ
まず、検索エンジンのデータベースは巨大な図書館で、検索エンジンは司書さん。知りたいことを伝えると膨大な本の中から自分の疑問を解決してくれる一冊を選んでくれるとします。インデックスされるということは、その図書館の本の一冊として自分のコンテンツを本棚に載せてもらうこと。
図書館は常に本を探してはいるし中身のコンテンツもチェックしているんだけど、たくさんありすぎて全てを完璧に把握するのは不可能。だから「見つけてもらいやすいようにしておく」のがとても重要なんです。
その「見つけてもらいやすいようにしておく」ってどうやるんですか?
クローラーとは
クロールしてもらえなければインデックスされないので、検索結果に表示されることもありません。
※リンクを辿ってきてもらう以外にもクローラーをサイトに呼ぶ方法があるので、絶対にクロールされないというわけではありません。代表的な方法はGoogleサーチコンソールでのクロール申請です。
暮らしニスタには他のページからひとつもリンクされていないページは無いので、クロールの面では問題なさそう。
▼クロールの統計情報
クローラビリティを下げる要因
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- リンク階層が深すぎる
クローラーはページのリンクを辿って行くので、リンク階層が深ければ深いほど見つけてもらえる確率は下がります。
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- インデックスする必要のない(重要度の低い)ページがnoindexされていない
一度にクロールされる数は限られているので、重要なページをクロールできない可能性が高まります。
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- FlashやJavaScript内からのリンクが多くある
クローラーはJavaScript内のリンクも認識できるように進化していますが、aタグを利用したリンクがベターです。
さらに気をつけたいのはサイト内の重要なページにより多くリンクを集めて、しっかりとクロールしてもらうことです。これが次のリンクジュースの話につながります。
リンクジュースについて
リンクジュースとは?
あるページにリンクを張ると、そのページが持っている「価値」の一部がリンク先のページに与えられる。その価値のことを「リンクジュース」と呼ぶ。
検索エンジンが検索結果にページを表示する順位を決定する際に考慮される数百もの要素の1つであり、あるページが他のページにリンクを張るということは、リンク先のページを支持しているとみなすという考え方が基本となっている。
出典:SEOにおけるリンクジュースの流れについて、図解で説明しよう | Moz – SEOとインバウンドマーケティングの実践情報 | Web担当者Forum
リンクジュースの受け渡しは外部サイトからのリンクでもサイト内部のリンクでも行われます。また、渡した分、元のページのジュースが目減りするものではありません。外部のサイトにリンクしてもらうのももちろん大事ですが、サイト内でリンクジュースを循環させることでも、ページの評価を高めていくことができます。
確かに検索エンジンのことだけを考えたらそうなるかもしれないけど、実際には違います。サイトにとって最も大切にすべきなのは検索エンジンよりもユーザーですよね。なのでこういったSEO内部施策を行う際には常に「ユーザーにとっての使いやすさ」を念頭に置かなければいけません。テキストリンクだらけのTOPページはYさんにとってかなり見にくいですよね。そういった変更はむしろマイナス評価されるリスクがあります。
内部リンク最適化のポイント
- 検索エンジンがクロールしやすいサイト構造を作り上げることでインデックスを促進する
- 内部リンクを適切に張り巡らせることでリンクジュースを循環させる
- ユーザーにとっての使いやすさを損ねるような過剰な施策はNG
前回のキーワード分析の際に、タグページのような中間のページが検索エンジンから評価されていないという問題がわかりました。その問題を解決するための施策が2つと、サイト分析をしていく中で見つかった改善点を1つ、合わせて3つの改善施策をお伝えしていきます。
①TOPページからタグページへの導線を作り、階層を浅くする
▼暮らしニスタのサイト構造と上位表示URL
キーワードごとにランクインしているURLをチェック。タグページが適していそうなキーワードでもアイデア詳細ページが上位表示されていた。
その状態だとクローラーがサイト構造を理解しにくくなってしまうのでTOPページからタグページヘの導線を整理しましょう。
今だとタグが1,200個くらいあるんですけど、そのページ全部へのリンクをTOPに入れるってことですか?
具体的には「タグ一覧ページ」を作成します。そこに現在使われているタグを載せることで、TOPから2クリックですべてのタグページに行くことができます。
②リンクが集まりやすい末端ページからもタグページヘリンクする
Yさん、暮らしニスタのサイトの中でTOPページ以外でリンクが集まりやすいのはどのページですか?
あと、暮らしニスタは外部に埋め込むためのブログパーツを提供しているので、アイデア詳細ページとユーザープロフィールのページにもリンクは集まっていると思います。
▼サイトバーに追加するブログパーツ例
画像引用元:asamiのお弁当。簡単かわいいキャラ弁の作り方
▼ブログ文中に追加するブログ・パーツ例
画像引用元:momoオフィシャルブログ「キミと一緒に ~momo’s obentou*キャラ弁~」
素晴らしいですね。ブログパーツを使って簡単に外部に埋め込めるのはユーザーにとっても便利ですし、リンク獲得にも貢献してくれていますね。では、そういったリンクが集まっている下層ページからもきちんとタグページへリンクジュースを流しましょう。アイデア詳細ページについてはすでにタグページヘのリンクがあるので、追加するとしたらユーザープロフィールのページですね。
③新着記事のインデックスを促進するページングの設定
できる限り多くの新着記事をクロールしてもらうために設定していきましょう。
効果
ちなみにインデックスページ数もコンテンツを追加したページ数以上に増えている(5月中に追加したページは160程)ので、インデックスされやすくなっていることもわかります。
これでユーザーさんのアイデアがより多くの人に見てもらえたら嬉しいです。
今まではユーザーさんにとっての使いやすさしか見てなかったですが、SEOの観点ももっと強めていって、ユーザーさんにとっても検索エンジンにとってもわかりやすいサイトにしていきます!