参考にしたいコンテンツマーケティング事例を紹介する<このコンテンツマーケティングがすごい>シリーズ第五弾。
今回は無料で簡単にネットショップの作成ができるサービス「BASE」のオウンドメディア、「BASE U(http://baseu.jp/)」を取り上げます。
2013年10月のYahoo!ショッピング無料化など、競争が激化しているネットショップ業界。最近でもニュースが絶えません。
こういった状況のなか「BASE U」の立ち位置や現状の分析、今後の展望について探っていきます。
目次
BASE U立ち上げの目的と役割とは
BASE Uはショップオーナー向けの相談窓口という位置付けのメディアだと考えられます。
「BASE U」とは「BASE University(大学)」の略で、
ネットショップオーナーを成功に導くお手伝いが出来ればという願いと、様々なジャンルのスペシャリストが講師となって寄稿していることが由来です。
出典:BASE Uとは | BASE U
そもそもBASEのサービスコンセプトが「お母さんでも作れるネットショップ※」であるため、利用ユーザーの中にはネットショップ初心者も多くいるようです。そんな初心者ユーザーが、ステップを踏んでショップ運営を成功させるための情報提供メディアとして位置付けられます。
また、ネットショップ開設の準備をしている段階のユーザー向けコンテンツも存在することから、ネットショップ開設を検討している新規ユーザーを獲得する役割も担っているとようです。
※参考
BASE、「お母さんもつくれるネットショップ」 手作り、特産販売 簡単開設 – SankeiBiz(サンケイビズ)
業界のプレーヤーとBASEの立ち位置
ネットショップを開設・運営する可能性があるユーザーをターゲットと考えた場合、競合となるプレーヤーは以下の3種類に分けられるでしょう。
- 有料系ネットショップ
- 無料系ネットショップ
- CtoC(オークション・フリマアプリ)系
※日付記入が無いものは、各サービスサイト閲覧時点(10月8日)の数値
上図のように、下位レイヤーから上位のレイヤーになるほど、ターゲット範囲は狭くなっていきます。
ターゲット層が狭い上位のレイヤーのマーケティング施策としては、ニーズが顕在化した「ネットショップ開設」のようなキーワードでのリスティング広告出稿や、一度サイトに訪れたユーザーを刈り取るリターゲティング広告などが考えられます。
逆に下位のレイヤーはターゲットが広いため、マス広告が有効です。実際にメルカリやミンネなどのCtoC系のアプリはテレビCMに予算を投じてアプリダウンロード数を伸ばしています。
そして、真ん中のレイヤーに位置するBASEは「ネットショップを作りたい」という明確なニーズを持った顕在層、「無料で簡単であればネットショップを開設してみてもいいかな」という潜在層の双方に対してアプローチする必要があります。そういった点で、BASE Uが情報提供コンテンツを用いて潜在層にアプローチすることは、効果的な施策であると考えられます。
BASE Uのメインユーザーとサービス利用までのカスタマージャーニー
今回はBASEのターゲット層の中でも、以下のようなユーザー像を想定しました。
- 副業でガッツリ稼ぐというよりも趣味でハンドメイド用品を作っている個人
- ネットリテラシーは特別高くないものの、日常的にインターネットを使って情報収集したり、ブログ・SNS等で情報発信している人
それでは簡易的にカスタマージャーニーを考えてみます。
出店者を増やすことを考える場合、まだネットショップという選択肢を持っていない層に対するコンテンツが重要となるでしょう。簡単かつ無料でネットショップを開設できることを訴求し、実際のショップ開設から継続利用へとつなげていくイメージです。
ネットショップオーナー向けのノウハウコンテンツがメイン
BASE Uは以下のようなコンテンツ構成になっています。
①ネットショップオーナー向けのノウハウまとめ・用語説明記事:約70%
例)売上が上がらない!そんなネットショップを改善して成功に導く30のチェックリスト
上代、下代など、ネットショップの専門用語とその仕入れ方法まとめ
②BASE利用者へ使い方を説明する記事:約10%
例)BASEの送料詳細設定Appが新しくなりました!
③リアルイベントに関するニュース系記事:約10%
例)【いよいよ今週】WEEKEND BASE下北沢を楽しむ3つの方法!
④新規ユーザーの獲得コンテンツ:約10%
例)【初心者必見】ネットショップを開業するために必要な7つの手順。
コンテンツを①バイラル性②商品(ユーザー)との関連性③ストックorフローという3つの観点からマトリクスで表現すると下記のようになります。
※コンテンツの形式だけでなく、扱うテーマによってバイラル性の高低が決まるため一概には言えません。あくまで目安としてプロットしたものです。
※コンテンツプロット図の見方はこちらの記事をご覧ください。
ノウハウやまとめ、用語解説などのストック系記事が多いため、長期的にSEO流入が狙える構成になっています。
アプローチするユーザーを広げる場合、少し関連性を下げたとしてもバイラルを狙える記事を作成するというやり方も考えられます。
例えば、既存のコンテンツだと、
おっさんを1時間1,000円で自由にできるショップ「おっさんレンタル」でおっさんをレンタルしてインタビューしてみました。
という記事が2,000弱のいいね!数と100程度のシェアを獲得しています。面白い商品を取り扱っている店舗へのインタビュー記事などはバイラル性の高い記事になりそうです。
記事をユーザーに届けるための流通経路は?
検索エンジンからの流入が半数以上となっています。また既存のユーザー向けのコンテンツが多いからか、ブックマーク等からの流入であるダイレクトがその次に多くなっています。
※あくまでSimilarWebでの調査であり、参考値です。(調査日:2015年10月13日)
上位表示状況を競合サイトと比較
「ネットショップ 開設」等のキーワードにおける上位表示状況を、競合サイトと比較してみました。
▼調査対象サイト(ターゲットが近しいと思われるサイトをメインで抽出)
▼キーワード別上位表示状況
※自社開発のキーワード分析ツールを用いて分析。(調査日:2015年9月9日)
主軸となるようなキーワードでは、競合他社と競っている様子が見受けられます。
実際に上位表示されているのは以下の様なキーワードです。
※自社開発のキーワード分析ツールを用いて分析。(調査日:2015年9月9日)
「ネットショップ 作成」や「ネットショップ 無料」のようなキーワードはBASE本体サイトの方で上位表示されていますので、主要なキーワードでは上位表示できていると言えます。
また、業界で上位を独占しているような競合サイトは存在しないようです。キーワード分析をした上で、それらに対応するコンテンツを作成すれば、関連するキーワードでの上位を独占できるかもしれません。
SNS運用はコンテンツの使い分けがカギか?
Facebookページはほぼ毎日更新、ページヘのいいね!は41,675人(2015年10月22日時点)です。
現在はBASEのショップで購入するユーザー向けの内容と、BASEユーザー向けの内容が同じページで運用されており、どちらかと言えば購入者向けの内容が多いようです。
Facebookページへいいね!しているユーザーは、BASEの各店舗で販売されている商品に興味がある人という前提で運営されているのかもしれません。
BASE Uと連携させていく場合、BASEの新機能に関する情報やノウハウなどに絞って情報を発信するページが必要になるかもしれません。
また、BASEmagという「ネットショップ運営者が商品の想いを発信する」ショッピングモール的な役割を果たすメディアも運営しており、こちらは個別でFacebookページを持っています。
Twitterもほぼ同様の状況で、BASEとBASE Mag、それぞれのアカウントを運営しているようです。TwitterはFacebookよりさらに更新頻度が高く、運用に力を入れている様子が見受けられます。
今後それぞれのFacebookページ、twitterアカウントが どのように住み分けされて運営されていくのか注目したいところです。
まとめ
ネットショップ系のサービスは、出品者がいないと購入者が集まらない>購入者がいないところでは出店したくない、と負のスパイラルが生まれる場合もあります。そこで、出店者の定着や継続利用、さらに新規出店者の獲得にも活用できるオウンドメディアを運営するというのは、有効な施策のひとつとなりえます。
購入者側のユーザーを集めるBASE Magもありますし、それぞれが相乗効果を発揮すれば、サービス全体が盛り上がっていくでしょう。今後のメディアの成長、そしてサービスの成長が楽しみです。
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