取り入れる企業が増えているコンテンツマーケティング。
しかし、ひとくちに「コンテンツ」と言われても、どのようなコンテンツを作ればいいのかわからないという方がほとんどなのではないでしょうか?
実際にはコンテンツマーケティングで達成したいこと、目的によってどのようなコンテンツを作っていくかが決まるのですが、それも慣れていない方にとっては少し難しく感じる話だと思います。
そこで今回の記事では「コンテンツの特性」を解説していきます。
目的に合わせてコンテンツを使い分けることができれば、コンテンツマーケティングの成果は加速するはず。そのための考え方をお伝えします。
※記事内で言うコンテンツはテキスト、画像、動画などのWebコンテンツを前提としています。
目次
コンテンツを分類する3つの切り口
もっともシンプルにコンテンツの特性を定義付ける3つの切り口をご紹介します。
- 1.商品との関連性が高いか、低いか
- 2.フロー性が高いか、ストック性が高いか
- 3.バイラル性が高いか、低いか
▼コンテンツの性質を可視化する「コンテンツプロット図」
※この図の見方は後ほど詳細に解説します。
1.商品との関連性が高いか、低いか
1つ目の切り口は「商品との関連性」です。
コンテンツの内容が自社が扱っている商品・サービスに近ければ近いほど「商品との関連性」は高まります。
商品との関連性がもっとも高いコンテンツはECで言えば商品詳細、サービス系サイトであればサービス紹介になるでしょう。
2.フロー性が高いか、ストック性が高いか
2つ目の切り口は「フロー or ストック」です。
「フロー性が高い」のはリリースされたタイミングで見ることに価値があるコンテンツ、「ストック性が高い」のは、リリース直後に見ても1年後に見てもほぼ変わらない価値があるコンテンツ、と大別できます。
フロー性が高いコンテンツの典型例がニュースです。ニュースというのは基本的にタイムリーに見るもので、今日のニュースを1年後に読むことはほとんど無いでしょう。
また、Webの文脈でいうと、ストック性の高いコンテンツは「継続的に流入を獲得できるコンテンツ」という意味もあり、それぞれメインとなる流通経路が異なります。
一般的に、フローコンテンツは、リリースしたタイミングでのソーシャルメディアでシェアや、ニュース系サイトへの掲載がメインの流通経路となります。
これに対しストックコンテンツは、検索エンジンで上位表示されることによって流入を獲得するパターンが多くなります。
▼ストック性の高いコンテンツの流入イメージ
リリース後に徐々に流入が増え、その後ある程度の流入が継続する
▼フロー性の高いコンテンツの流入イメージ
リリース直後に一気に流入が伸び、その後はほとんど無くなる
3.バイラル性が高いか、低いか
3つ目の切り口は「バイラル性」です。これはいわゆる「バズるか、バズらないか」にあたる部分だと考えてください。バズは狙えば必ず起こせるというわけではありませんが、バズりやすいコンテンツとそうでないコンテンツというものは存在します。そもそもバズる可能性のあるネタなのか、バズるような仕掛けができているかで判断します。
コンテンツの性質を理解して全体の戦略を設計する
まず前提として、闇雲に大量のコンテンツを作成し、サイトに追加していっても、コンテンツマーケティングの成果を感じることは難しいでしょう。
できる限り短い期間でコンテンツマーケティングの成果を出すためには、お伝えしたようなコンテンツの性質を理解し、戦略のフェーズごとにバランスよく組み合わせていく必要があります。
コンテンツ戦略のバランスをチェックするプロット図
記事冒頭で紹介したコンテンツプロット図は、作成する予定のコンテンツが得たい成果に適しているか、全体的なバランスがとれているかをチェックするときに便利です。
使い方は簡単です。
作成しようとしているコンテンツの種類を大別し、種類別にどのような性質を持っているのかを3つの切り口(①商品との関連性 ②ストックorフロー ③バイラル性)で考え、図に書き込んでいけば完成です。
コンテンツプロット図のサンプル
当ブログでは定期的にコンテンツマーケティング事例を研究した記事を配信しており、そのなかでコンテンツプロット図を用いた分析もしています。
ここで具体的な事例としてご紹介します。
詳細な解説が見たい場合は各記事をご覧ください。
※コンテンツの形式だけでなく、扱うテーマによってバイラル性の高低が変わります。あくまで目安としてプロットしたものです。
クラウド会計ソフトを運営するfreee株式会社のオウンドメディア「経営ハッカー」
比較的まんべんなくコンテンツがプロットされています。かなりバランスのいいコンテンツ構成になっているといえるでしょう。
参考:【事例分析】月間100万PV超えのオウンドメディア「経営ハッカー」をコンテンツマーケティング戦略視点で調べてみた
プロアクティブでお馴染みのガシー・レンカー・ジャパンのオウンドメディア
「ニキペディア」
比較的バイラル性重視コンテンツは少なく、あくまで見込みユーザーの役に立つという点に特化したコンテンツ構成です。
参考:公開から1年で40万UU!「ニキペディア」のコンテンツマーケティング戦略を徹底分析
EC×コンテンツマーケティングの好事例である生活と科学社の「石鹸百科」
「商品との関連性が高く」「流行り廃りの無いストック型」であり「バイラル性は低め」なコンテンツが多いです。
参考:悩めるECサイト運営者が参考にすべき”EC×コンテンツマーケティング”事例「石鹸百科」の堅実なオウンドメディア戦略を徹底分析
性質別のコンテンツ事例
コンテンツの性質の基本は理解できたでしょうか?
より明確にイメージできるよう、以下で具体例をご紹介します。
A.関連性、ストック性、バイラル性、すべてが高いコンテンツ
より多くの人に興味を持ってもらえるネタでありながら商品との関連性を確保しつつ、継続的に検索エンジンからの流入も期待できる、もっとも増やしたいコンテンツ。ただし、実際作るとなるとかなり難易度が高いです。
当てはまりやすいコンテンツの例
自社商品を使ったハウツー等
※自社商品がニッチだったり一般にはわかりにくいタイプのものだと、関連性を維持しながらバイラル性の高いものを作るのはかなり難しい。
事例:北欧、暮らしの道具店
ここでは有名なオウンドメディア「北欧、暮らしの道具店」のコンテンツを取り上げます。
家しごと特集|一年中楽しめる”自家製シロップと果実酒”【レモンシロップ編】 – 北欧雑貨と北欧食器の通販サイト | 北欧、暮らしの道具店
北欧雑貨の販売というサイトの目的と合致している。
さらに魅力的な写真や専門家によるレシピであるという信頼感も、シェアやいいね!を増やす仕掛けになっている。いいね!数:12,956
シェア数:604
シェアへのコメント数:256
ツイート数:261
はてブ数:502
※ASEを用いて調査(調査日:2015年8月26日)
▼ストック性
「レモンシロップ」「レモンシロップ レシピ」などのキーワードで5位以内にされている(2015年8月24日現在)。月間検索ボリュームは多くはないが、ある程度の流入はあると考えられる。
B.関連性、ストック性が高く、バイラル性が低いコンテンツ
商品との関連性が高く、継続的な流入が狙えるコンテンツ。バイラルはしないものの、ストック性があるため長期的に売上に貢献してくれる可能性が高いです。
当てはまりやすいコンテンツの例
自社商品に関連するハウツー、活用方法等
事例:石鹸百科
石鹸を中心とした消費財のECサイト「石鹸百科」のコンテンツを事例として取り上げます。
石鹸や関連商品の販売に直接つながる可能性もある、サイトの目的と合致した内容。▼バイラル性
手作り石鹸に興味がある人の母数が少ないこと、そもそもハウツーは便利ではあるけどシェアという行動が起こりにくいことなどから判断すると、バイラル性は高くない。Facebookシェア数:4
ツイート数:4
はてブ数:0
※ASEを用いて調査(調査日:2015年8月26日)
▼ストック性
「石鹸 作り方」で2位「石鹸 手作り」で4位に表示(2015年8月24日現在)。
C.関連性、ストック性が低くバイラル性が高いコンテンツ
とにかく多くの人にリーチすることを目的としてバイラルしやすいネタを扱うと、この分類に当てはまるコンテンツになります。
当てはまりやすいコンテンツの例
時事ネタに絡めたネタ
幅広い層が興味を持ち、議論を呼びそうなコラム記事等
事例:HEYAZINE
ここでは不動産仲介業をメイン事業としており、物件情報を探すためのポータルサイトも運営しているHEYAZINEの事例を取り上げます。
ハーバード大学「人生で幸福度に一番影響を与えるのは、幼少期の両親との人間関係」 – HEYAZINE[ヘヤジン]
不動産賃貸との関連性は限りなく低く、物件探しをしていない人も興味を持つような内容。
シェア数:1,680
シェアへのコメント数:1,874
ツイート数:478
はてブ数:41
※ASEを用いて調査(調査日:2015年8月26日)
▼ストック性
内容には普遍的に価値があるが、このコンテンツにたどり着くための検索キーワードがあまり見つからないため、継続的な流入は得にくいと考えられる。
D.関連性が高く、バイラル性、ストック性が低いコンテンツ
商品やサービスとの関連性は非常に高いが、バイラル性が低く、継続的な流入も狙いにくいタイプのコンテンツ。
新規ユーザーの獲得よりも、程度購買意欲の高まった状態のユーザーに届け、ニーズを高めるのに使われるイメージです。誰でも見れるようにオウンドメディアに載せておくのはもちろんですが、メルマガのコンテンツとして活用することも考えられます。
当てはまりやすいコンテンツの例
お客様の導入事例やインタビュー等
事例:eA[イーエ]
中古マンションリノベーションを手がけるリノベる株式会社の「eA[イーエ]」を事例として紹介します。
キッチンまで続く無垢フローリングに、畳の小上がり。お部屋づくりの楽しさ溢れるリノベ事例。
▼商品との関連性
非常に高い。このコンテンツを見る人はリノベーションを検討している可能性が高い。
▼バイラル性
美しい写真が使われており、Facebookいいね!などはつきやすそうだが、そもそもリノベーションに興味を持っているユーザーの母数が限られていることもあり、バイラルが起こりやすいタイプのコンテンツではない。
いいね!数:35
シェア数:5
シェアへのコメント数:0
ツイート数:6
はてブ数:0
▼ストック性
内容には普遍的に価値があり、購買を検討する段階のユーザーに対して繰り返し利用できる点ではストック性は高い。しかし、合致する検索キーワードがあまりないため検索エンジンからの継続的な流入は得にくい。
まとめ:目的や戦略に適した特性を持ったコンテンツを作ろう
コンテンツの特性と具体例をご紹介しました。
まずは安定したアクセス基板を築きたいのであればストック性の高さを重視したコンテンツ、幅広く認知を広げたい場合はバイラル性を重視したコンテンツ、問い合わせ獲得を重視するなら商品との関連性が高いコンテンツ、というように、重視したい目的によって優先すべきコンテンツは変わります。
また、コンテンツ性質を理解していれば、より適切な効果測定ができるようになります。バイラル重視のコンテンツの指標をコンバージョン率にしたり、商品との関連性を重視したコンテンツの指標をSNSでのシェア数にしたりすると、有効なPDCAを回せません。
コンテンツマーケティングの目的からどこに注力すべきかを判断し、作成するコンテンツのバランスを取っていきましょう。
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