突然ですが、あなたは今までに、カスタマージャーニーマップを作成したことがありますか。
カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーのサービス利用体験すべてを可視化することで、ユーザー理解を深めるためのツールです。 良質なユーザーエクスペリエンスを提供するためには、サービスそのものの品質だけでなく、認知、利用前、利用中、利用後、すべてのプロセスにおいてユーザーとの接点を最適化する必要があります。
引用:カスタマージャーニーマップについての簡単なまとめ|U-Site
聞いたことはあるものの、実際作ったことがない・・・
作ろうと試みたものの、うまくできなかった・・・
作ってみたものの、作ったものを活かせていない・・・
そんな方も多いのではないでしょうか。
ということで今回は、日本オラクル株式会社と株式会社ロフトワーク共催のワークショップ
顧客視点で体験を描くカスタマージャーニーマップのワークショップイベントで学んだカスタマージャーニーマップの作成方法をご紹介させていただきます。
カスタマージャーニーマップの完成イメージと必要なもの
カスタマージャーニーマップは、ホワイトボードや壁に付箋を貼り付けながら作っていくことが多いです。すべての工程が終わると以下の写真のようになります。
▼カスタマージャーニーマップ完成イメージ
全体像を図で表すと以下のようになります。
作成にあたって準備するもの
・ペン
・大きめの付箋(複数色あると良い)
・ホワイトボード等の付箋が貼れる大きめのスペース
・小さめのシール(2色、なければカラーペンでも良い)
カスタマージャーニー作成時に気をつけたいポイント
・カスタマージャーニーは一人ではなく複数人で作る
・できるだけ多く意見を出す
・徹底的にユーザー目線になりきる
・各項目(特にユーザーの感情など)はできるだけ具体的に書く
カスタマージャーニーマップの作り方
カスタマージャーニーマップ作成の大まかな手順は以下のとおりです。
- ペルソナ決め
- ストーリー作成
- オンステージ
- ペルソナの態度(感情)
- バックステージ
- 評価と優先づけ
- ニーズ
- 役割とプロセス
- 評価
- 新しい経験のデザイン
それぞれの段階で具体的に何をするのか、詳しくご紹介していきます。
1.ペルソナ決め
これから作成するカスタマージャーニーマップの主人公となるペルソナを設定します。
すでにペルソナが決まっている場合は、そのペルソナを使用してください。
ペルソナって何……?という方や、作り方がわからないという方は、以下を参考にしてみてください。
ペルソナ設定ってしなきゃダメ?設定するメリットと作成方法
具体例
各工程において実際のワークショップで使用した例を挙げさせていただきます。
(※ワークショップではより具体的に設定されていましたが、本稿では簡略化して記載しています)
名前:Jen(ジェン)
年齢:28歳
住まい:賃貸暮らし
自家用車:なし
趣味:ファッション・ブログ
性格:倹約家・人からおしゃれに見られたい
2.ストーリー作成
ペルソナが決定したら、ゴールまでのストーリーを描きます。
ストーリーを描く際には以下を気をつけてください。
・ペルソナの気持ちになること
・できるだけ細かくストーリーを設定(想定しうるアクシデント等も)すること
ここまでが、カスタマージャーニーマップ作成における下準備です。
参加したワークショップではペルソナとストーリーが決まっていて、それをお題にワークが始まりました。
具体例
親友の結婚式でブライズメイドをやってほしいと依頼され、会場までカーシェアリングサービスを使うことにする。
おしゃれな車をレンタカーよりも安くカーシェアリングできて満足していたが、結婚式後に車の故障が起きたり、利用後の請求ミスとカスタマーサポートの対応の不備により、最終的には会員登録の解約をする。
カーシェアリングサービス「Zoom Go」
※架空のサービスです。
実際のストーリーはもっと細かく、時間の経過なども組み込まれます。
ワークショップでは上記の1つのストーリーを3分割してグループワークを行いました。
3.オンステージ
ペルソナとストーリーができたら、そのペルソナが実際に接触する(関わる)人・モノを書き出します。
具体例
人:親友・カスタマーサポート
モノ:車・スマートフォン・PC・メール
ペルソナのジェンが、実際に接触する人とモノを書き出します。
この際に、人・モノで付箋の色を変えるとわかりやすいです。
4.ペルソナの態度(感情)
ペルソナが、ストーリーの中で感じる態度(感情)を具体的に書き出します。
ネガティブ/ポジティブ両方書き出すのがポイントです。
具体例
・おしゃれな車が安く借りられて嬉しい
・車が急に故障してしまいパニック
・おかしな請求書に憤りを感じる
・いいから早く返金して欲しい
ストーリーに合わせて、その時のジェンの態度(感情)を付箋に書いて、図の4の部分に貼っていきます。
5.バックステージ
次に、直接は接触しないけど、裏では関わっているであろう人・モノを書き出します。
具体例
人:カスタマーサポートの上司
モノ:車の修理道具・会員情報管理システム・メール配信システム・支払い管理システム
この際、人・モノで付箋の色を変えるとわかりやすいです。
6.評価と優先づけ
「4.ペルソナの態度(感情)」で書きだした態度(感情)のなかでペルソナにとって一番インパクトのあるであろうポイントを、ネガティブ/ポジティブそれぞれ3つずつ投票します。
得票数の多いポイントは、事業推進におけるKPIのどの部分に影響するかを考えます。
基本的にKPIはもともと決まっているものだと思うので、その中から影響度が大きいものを選ぶイメージです。
ネガティブな投票が多い部分は「イシュー」、
解決しなければいけない課題です。
逆にポジティブな投票が多い部分は「オポチュニティ」、
より伸ばせる機会になります。
具体例
ジェンの態度を書いた付箋のなかから、ネガティブ/ポジティブそれぞれの「ジェンにとってインパクトが大きい態度(感情)」に、シールを貼りつけて投票を行います。
ワークショップの際には、特に得票が多かった態度「いいから早く返金して欲しい」の部分を、優先的なポイントとして設定しました。
そしてそのポイントは、「会員登録後のユーザーからの問合せ数の削減」というKPIに影響があると決めます。
7.ニーズ
優先付けしたポイントで、ペルソナが求めているもの(欲求)を書き出します。
その際、表層的な欲求だけでなく、その裏にある感情も想像して書き出しましょう。
例:
表層的な欲求:このバッグが欲しい
裏にある感情:おしゃれな人と思われたい
→表層的な欲求だけをみれば、解決策は「バッグを売る」ということになるが、裏にある感情までみると「おしゃれだと思われるためには何を提供すべきか」というより広い視野が持て、解決策の幅も広がる。
具体例
ジェンの態度「いいから早く返金して欲しい」という感情の、表層的な欲求と裏にある感情を以下のように設定しました。
裏にある感情:この問題を早く解決したい
※これもできるだけ多く案を出してください
8.役割とプロセス
優先付けしたポイントの周辺で接触する人・モノ(オンステージ/バックステージどちらも)について、それらの役割を書き出します。
書きだした役割を、順序立てします。
具体例
<接触する人・モノ>
オンステージ:カスタマーサポート
バックステージ:PC
<役割とプロセス>
カスタマーサポートの役割とプロセス:電話をかける・メールを送る・返金をする・返金の確認をする
PCの役割とプロセス:会員情報の表示・メール配信結果の表示・支払情報の表示
これらは、それぞれ人(カスタマーサポート)・モノ(PC)の付箋に重ねて付箋を貼っていってください。
9.評価
「8.役割とプロセス」で書きだした役割について、「7.ニーズ」で書きだしたニーズを満たせているか、できていること/できていないことを評価します。
具体例
今回のストーリーでジェンの瞬間と感情の欲求に対して、カスタマーサポートとPCは役割を満たせているか、
できている/できていないを2色のシールを付箋に貼り付けて投票していきます。
今回一番できていない部分は、「返金する」という部分でした。
10.新しい体験のデザイン
「6.評価と優先付け」で、イシュー(課題)やオポチュニティ(機会)が明らかになり、「9.評価」で、できていること/できていないことが明らかになりました。
これらを踏まえて、ペルソナが新しい体験をできるような改善策(やイノベーション)を考えていきます。
具体例
解決策:自動返金システムを導入する
まとめ
ワークショップでは、それまでに出た付箋を以下のようにまとめていきました。
まとめると次の様な結論を導き出すことができます。
- 【 ペルソナ 】が【 新しい体験 】できるようになると
- 【 顧客ニーズ&ブランド課題/機会 】を解決します
- 【 改善策やイノベーション 】を実現することで
- 【 KPI 】の改善に繋がります
具体例
- 【 ジェン 】が【 自動返金システムを体験 】できるようになると
- 【 ジェンの問い合わせの手間と、カスタマーサポートの工数圧迫 】を解決します
- 【 自動返金システム 】を実現することで
- 【 返金発生時の問合せ対応工数の削減 】に繋がります
まとめ
今回は、サービスをより良くしていくためのカスタマージャーニーマップの作成方法を具体的にご紹介しました。
4時間半に及ぶワークショップでしたが、大変参考になるものでした。
これは、サービスの改善だけでなくコンテンツ作成にも役立ちますので、どんなコンテンツを作ればいいのかわからないと悩んでいる方は、是非応用してみてください。
日本オラクルとロフトワーク社によるワークショップは、今後も数回行われるそうなので詳しく学びたいという方はチェックしてみてください。
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